研究課題/領域番号 |
19K03720
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
開 康一 福島県立医科大学, 総合科学教育研究センター, 教授 (00306523)
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研究分担者 |
松浦 弘泰 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (40596607)
石井 康之 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (90391854)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 一次元伝導体 / NMR / nodalline半金属 / 磁場誘起電荷密度波 / 反磁性 / 電荷密度波 / ニ鎖一次元伝導体 / 圧力下測定 / 磁場誘起CDW / 圧力下 / 1次元電気伝導体 / 分子性物質 / バンド間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
2鎖1次元分子性導体HMTSF-TCNQ は古くから知られていた物質である。特徴的な結晶構造と物性が注目されたが、良質の試料を得るのが難しかったため研究例は多くない。しかし近年、純良な試料の合成が可能となり新展開を迎えている。1)1 鎖1 次元系では現れなかった『特異な温度依存性を示す大きな反磁性』が確認され、2)高圧・強磁場下では『磁場誘起電荷密度波相と期待される電子相』が現れることが明らかになった。本研究では、1) 異常な反磁性の起源の解明と 2) 磁場で誘起される磁場誘起密度波相の同定、に着目し、実験と理論とが協力して研究を行い、分子性導体の示す多様な電子状態の統一的な理解に貢献する。
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研究成果の概要 |
二鎖一次元分子性導体での1.異常な反磁性の起源の解明、2.磁場で誘起される新たな電子相の可能性の検証、の目的のため、実験理論両面から研究を行った。実験ではNMRと磁化率を、理論では第一原理とtight-bindingモデルでのバンド計算を行った。 NMR実験により二つの一次元鎖の寄与が明らかになった。緩和率がT^3に比例することが確認され、理論で得られたバンド構造と対応する。また、CDWの波数、磁化率の絶対値、nodallineを持つ半金属であることなどが確認され、1.については多くの部分が明らかになった。2.の点では常圧下と大きな違いはないものの、状態密度が減少していることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は二つの一次元伝導バンドを持つ伝導体HMTSF-TCNQが示す特異な状態の解明をした研究である。1970年台には報告があった異常反磁性は本研究のNMR、磁化率測定、および理論計算によりその起源が明らかにされた。比較的単純なバンド構造と期待されている一次元電子系の電子状態に新たな可能性を見出したという点で意義深い。 一方、圧力下でその存在が議論されている「磁場誘起電荷密度波」についてはさらなる研究が必要である。
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