研究課題/領域番号 |
19K03725
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
|
研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
大森 有希子 豊田工業高等専門学校, 一般学科, 准教授 (60631877)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | ディラック電子状態 / 分子性固体 / 構造相転移 / 電子格子相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
ディラック電子状態とは、物体の性質を決める電子のエネルギーが相対論的な特徴を持っている状態のことで、近年の物性科学において活発に研究されている。特に分子性固体に現れるディラック電子状態は電子間の相互作用が強く、新奇物性の研究対象として期待されている。 本研究では、金属状態にある分子性固体 theta-(BEDT-TTF)_2I_3 が加圧によってディラック電子状態へ構造相転移を起こすことを示した実験結果を受け、この過程を理論的に明らかにする。これにより、自発的格子歪みによるディラック電子状態発現の機構を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究計画の目的は、分子性固体 theta-(BEDT-TTF)_2I_3 への加圧実験で観測された、金属状態からディラック電子状態への構造相転移の機構を理論的に明らかにすることである。これにより、自発的格子歪みによるディラック電子状態発現の初めての例を与えるとともに、alpha-(BEDT-TTF)_2I_3 をはじめとする格子の対称性が著しく低い分子性ディラック電子状態の起源を示すことを目指している。 前年度までに、研究代表者は(1) 1軸方向の格子変移のみを考慮し、BEDT-TTFの分子軌道が与える格子変移と遷移積分値の関係を取り入れた拡張パイエルス-ハバード模型を提案し、その数値解析により本模型がtheta-(BEDT-TTF)_2I_3 で観測されたのと同様のディラック電子状態への構造相転移を起こすことを示した。さらに、(2)前項の理論模型をさらに簡略化したものを理論解析し、BEDT-TTF分子によるディラック電子状態はある対称性を持つ三角格子状の1/4フィルド pi-flux 模型と関連付けて理解できることを明らかにした。これらの結果は alpha-(BEDT-TTF)_2I_3 の格子状態と対応づけることができ、そのディラック電子状態の理解にも役立つものである。本年度はこれらの研究結果を2本の論文にまとめ出版することを目指したが、8月の研究中断(産前産後休暇の取得に伴う)までに出版に至ることができなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度9月から2020年度末までの研究中断期間に続き、本年度8月より再び産前産後休暇および育児休業の取得に伴う研究中断期間に入ったため、研究計画を立てた2018年度時点より大幅に進捗が遅れてしまっている。
|
今後の研究の推進方策 |
育児休業の終了に伴い2024年度から研究を再開する予定である。再開後、まずここまでの研究成果を論文として公表することを目指す。続いて次段階であるネスティング由来の長距離秩序まで考慮した数値解析に着手する。
|