研究課題/領域番号 |
19K03735
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
関根 ちひろ 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (60261385)
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研究分担者 |
椎名 亮輔 琉球大学, 理学部, 教授 (30326011)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 多極子 / 充填スクッテルダイト / 金属ー絶縁体転移 / スクッテルダイト / 金属ー非金属転移 / 磁性 / 強相関電子系 |
研究開始時の研究の概要 |
多極子は、電荷・磁荷分布の異方性を特徴づける物理量であり、強相関電子系化合物に多数見出されている「隠れた秩序」を解明する上で、高次多極子は重要な鍵である。充填スクッテルダイト化合物は、こうした多極子研究において最も重要な物質群の一つであり、中でも特筆すべき現象として、 局在f電子の持つ多極子自由度と結晶場状態に依存した遍歴電子との混成効果が関与する金属-非金属転移が知られている。本研究では、金属-非金属転移を示すSmRu4P12およびその関連物質の純良試料の合成を行い、中性子散乱などの微視的な実験研究と理論的研究により、多極子自由度が関与する異常物性の発現機構の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
マルチアンビルプレスを用いた高圧合成法により、充填スクッテルダイト化合物SmRu4P12のRuサイトを低濃度のRhで置換したSm(Ru1-xRhx)4P12および関連物質DyRu4P12等の試料合成を試み、純良な試料の合成に成功した。得られた試料に関する基礎物性測定を行い、これらの試料の磁場ー温度相図を得ることができた。SmRu4P12の金属-非金属転移は、Rh置換に対し非常に敏感であり、少量のRh置換で転移が消失すること、特にII相への転移を大きく抑制することが分かった。また、DyRu4P12の磁気転移の磁場依存性は、多極子自由度関与の可能性を示唆した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
多極子は固体中の電子における電荷・磁荷分布の異方性を特徴づける量であり、いわゆる「隠れた秩序(Hidden Order)」の解明において重要な鍵であると考えられているが、高次の多極子は直接観測の手段が限られ、実験的に捉えにくく、これまでに、多くの実験的・理論的研究が行われ、その描像は明らかにされつつあるが、完全な理解には至っていない。充填スクッテルダイト化合物は、多極子研究において最も重要な物質群の一つである。本研究により得られた成果は、多極子自由度が関与する異常物性の発現機構の解明に寄与でき、強相関電子系の多様な秩序状態に新しい知見を与え、固体物理学(相転移物理)の発展に貢献できる。
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