研究課題
基盤研究(C)
多くの物質中では磁性と超伝導は水と油の関係の様にお互い排他的に発生し、共存状態を示す物質は殆どありません。CeNiGe3は、高い圧力をかけることで超伝導と共存する磁性状態が、競合する磁性状態へと変化するため、磁性と超伝導の関係を調べる上で非常に興味深い物質のひとつです。磁性状態は中性子回折実験により調べることができますが、高い圧力下で実験を行うには技術的な難しさがあるため、これまでに精度良い実験はできていません。我々は専用の圧力容器を開発することで、CeNiGe3の圧力下の磁性状態の解明を目指しています。
一風変わった温度圧力相図を示すCeNiGe3における圧力下で現れる超伝導と共存する磁気相と、競合する磁気相の性質の解明を目指し、1立方ミリメートル程度の試料に対して4~5万気圧程度の圧力実験ができる圧力セルの開発と、それを用いた圧力下中性子回折実験を進めてきました。現在の発生圧力は目標の大凡四分の一程度であるため、さらなる改良は必要であるものの、圧力下で微弱な磁気信号を観測するという初段の目的を達成することができました。また非整合磁気伝搬ベクトルにわずかながら圧力変化が見られ,大凡2~5万気圧の間で非整合-整合磁気相転移が生じる可能性を見出すことに成功しました。
圧力は温度と並んで,物質の状態を変えるひとつのパラメータであるものの,物質中の電子状態を変えるためには数万気圧程度の圧力が必要となります。先人による様々な努力の結果,近年では多くの実験が比較的手軽に実施できるようになりましたが,物質の微視状態を調べる中性子やX線による実験のためには更なる工夫が必要です。我々は物質の磁気状態を調べるために,数万気圧の圧力下で比較的大きな試料(1mm3)でも実験のできる圧力セルを開発し,圧力下の磁気状態の変化を捉えることに成功しました。目標とした圧力には届いていないため更なる改良は必要ですが,今後,物質の新しい状態を捉えることが出来る可能性があります。
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