研究課題/領域番号 |
19K03742
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 東北大学 (2021-2022) 横浜国立大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
那須 譲治 東北大学, 理学研究科, 准教授 (40610639)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 量子スピン液体 / 非平衡ダイナミクス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では量子スピン液体における準粒子形成に係る過渡的なダイナミクスを調べることで、そのメカニズムを明らかにする。さらに準粒子の存在を確実なものとする実験方法を提案し、ポンプ・プローブ分光実験やパルス磁場実験などの実験グループと連携して、その検証への道筋を作る。準粒子形成プロセスという非平衡過程の新たな側面に着目することで、創発準粒子の存在実証だけでなく、それに由来した強相関非平衡系の新たな分野を開拓することができる。
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研究実績の概要 |
当該研究課題では、磁性絶縁体で現れる量子スピン液体がもつ分数準粒子に対する非平衡ダイナミクスの研究を行う。量子スピン液体とは強い量子ゆらぎと相互作用によって極低温まで時期秩序が抑制された量子状態であり、それが持つ強い量子エンタングルメントによって、そこからの素励起は、スピンがあたかも複数の準粒子に分裂したかのように振る舞う。それらが持つエネルギースケールは全く異なるため、励起構造だけでなく非平衡ダイナミクスも全く異なることが予想される。特に、実時間発展において、異なる動力学的性質を有する準粒子を別個の時間スケールで分離して観測できる可能性がある。さらに元の量子スピンからどのように分数化が生じる過程も議論することができるため、分数準粒子の非平衡状態の理解は、分数化の起源の解明にも重要である。本年度では、キタエフスピン液体で見られたスピンの分数化が他の系でも現れるかを検証するために、長距離の磁気相互作用を持つ系やスピンの長さを大きくした模型を対象に研究を行った。その結果、例えばキタエフ模型に対してスピンの長さを長くしていくと、量子ゆらぎが抑制されて量子スピン液体が不安定になり、量子スピン液体相の領域が小さくなることがわかった。これまで、スピンが1/2より大きな場合についてもスピンの分数化の兆候が、比熱のダブルピーク構造として観測されていたが、今後、そのような分数準粒子が非平衡ダイナミクスとしてどのように現れるかを検証していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、量子スピン液体で現れる分数準粒子の性質を明らかにするために、特に、分数準粒子を持つことを厳密に示すことができるキタエフ量子スピン液体を出発点として、素励起の非平衡ダイナミクスや拡張されたキタエフ模型に対する量子ダイナミクスを明らかにすることを目的に研究を行っている。キタエフ量子スピン液体においては、遍歴的なマヨラナフェルミオンとバイゾンと呼ばれる局在励起の2種類の準粒子が存在する。これまで、マヨラナ準粒子はスピン励起を伝搬することを明らかにし、さらに、マヨラナ準粒子の伝搬に対してバイゾン励起は強い散乱体として振る舞うことを明らかにした。バイゾン励起の代わりに不純物を導入したときは、それはマヨラナ準粒子の伝搬に対してほぼ影響を与えないため、マヨラナ準粒子の散乱効果はバイゾン励起特有のものであることがわかった。より詳しい解析により、バイゾン励起の作るゲージ場がマヨラナ準粒子に対して顕著な影響を与えていることを明らかにした。今後バイゾン励起の実時間ダイナミクスに関しても明らかにしていく必要があるが、研究は、概ね順調に進展していると言えると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、量子スピン液体におけるスピン励起の注入後の時間発展において、遍歴的なマヨラナフェルミオンの役割が主に調べられており、また、バイゾンと呼ばれる準粒子が少数励起されている場合には、スピン励起を伝搬するマヨラナ準粒子が、それによって大きく散乱されることを見いだした。一方でバイゾン励起は磁場下でマヨラナゼロモードを伴うことで非可換エニオンと呼ばれる特殊な準粒子励起になり得る。これはトポロジカル量子計算に有用と考えているため、これを実空間かつ実時間で生成、制御する方法を明らかにすることが重要であると考えられる。そのためには大きなサイズでの計算が必要になるため、テンソルネットワークなど新しい計算手法も活用することで研究を推進していくことを考えている。
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