研究課題/領域番号 |
19K03758
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
河本 充司 北海道大学, 理学研究院, 教授 (60251691)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 強誘電体 / 選択的同位体置換 / 2H-NMR / 分子運動 / 同位体 / NMR / 柔粘性結晶 / 誘電異常 / 同位体置換 / 強誘電性 |
研究開始時の研究の概要 |
永久双極子をもつ球形の分子キヌクリジウムを用いた有機分子特有の柔らかさにより、歪によっても強誘電特性を制御できる“柔粘性強誘電体”という特徴のある性質があるキヌクリジウムReO4結晶が近年報告された。このミクロスコピックな観点からその強誘電性のメカニズムを探るため磁気共鳴と同位体置換をつかった戦略的な核磁気共鳴の研究を行う。 核磁気共鳴は、分子スケールの運動の詳細を観ることができる実験手法であり、分子を選択的に重水素置換し、D-NMRをおこない、H-NMRの結果と比較検討することにより分子運動の詳細を実験的に解明し分子運動の凍結と強誘電性の発現メカニズムとの関連性を探る。
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研究成果の概要 |
柔粘性強誘電体であるレニウム酸キヌクリジニウムの強誘電性の発現機構と分子運動の関係をI=1 の核であるD-NMR で調べるためにキヌクリジンの窒素に重水素を選択的に結合させた重水素化キヌクリジニウムの合成ルートを確立した。DMSO中のNMRから定量的に目的部位が重水素置換されたことを確認し、このカチオンを用いてレニウム酸キヌクリジニウムを作製した。X線回折実験、示差熱分析から格子定数が非重水素置換体と変わりなくまた、置換効果による相転移温度の有意な違いは観測されなかった。室温のD-NMR で シャープな複数本のスペクトルが観測され低対称相 (LTP)でも何らかの分子運動の存在が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
分子性機能性結晶の研究で選択的同位体置換は原子スケールの磁気プローブを設置するという利点から、磁性体、超伝導体の分野で発展してきた。多くの選択的同位体置換の研究は 有機分子の13C置換により行われている。13C 核は I=1/2 であり、磁気プローブとしては有用であるが、電場との相互作用がない。本課題は、I=1 で核四極子と電場勾配との相互作用のある重水素の選択同位体置換によるアプローチを行い、その置換ルートの確立と評価、また運動の知見の一部を得たことは学術的に意義があり、今後の継続的研究の基盤となる。
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