研究課題/領域番号 |
19K03763
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 美加 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (00610867)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 液体 / 液体・ガラス転移 / 中距離秩序 / エイジング / 熱測定 / ガラス / 中距離構造 / 動的不均一性 / 原子間力顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
液体・ガラス転移では、温度の低下とともに、緩和時間などの動的性質が10桁近く増大する。この動的性質のスローイングダウンの背景には動的不均一性が関係し、これには構造の空間不均一性をともなうことが数値計算などから示唆されているが、現実の系では未だ観測されていない。本研究では、本当にこうした秩序が存在するかどうかという問題について正面から取り組み、液体の中距離秩序の実験的検出を試みる。
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研究実績の概要 |
液体・ガラス転移においては、温度の低下にともない系の時間スケールが、数桁に渡って増大する。一方、平衡の相転移とは異なり、ガラス転移温度は、実験の時間スケールと系の時間スケールとのクロスオーバーにより、実験的に観測される見かけ上のものであるとされている。この考え方にもとづくと、時間スケールは低温で連続的に増大すると考えられるが、一方で、ガラス転移温度以下の低温で、系の特徴的時間スケールの温度依存性が変化することを示唆する報告も多数ある。しかしながら、こうした低温での温度依存性の変化が、実験の問題による見かけ上のものなのか、それとも有意の変化であるかという問題は決着していない。我々は、上記の問題を解明するため、示差走査熱量測定を用いて、ガラス状態の平衡化過程を観測した。示差走査熱量測定法によりガラス転移曲線を観測すると、ガラス側と液体側との比熱の差によるステップのほかに、エンタルピー緩和によるピークが観測されるが、このピークはガラス状態における保持時間(アニール時間)に依存する。このことを利用すると、ピーク成長のアニール時間依存性から、ガラス状態における系の状態の時間発展を追跡することが可能である。こうして得た実験データを解析したところ、低温での時間スケールの発散は起こらず、有限値に収束することを示唆する結果を得た。低温では時間スケールが増大し、実験の時間スケールを超える問題が生じるので、独自の解析法を開発した。今年度は、その妥当性と適用範囲について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しい解析法の妥当性の検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き解析の妥当性を検討したのち、結果を論文投稿する予定である。
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