研究課題/領域番号 |
19K03764
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平岩 徹也 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 客員共同研究員 (20612154)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 細胞集団遊走 / 数理モデリング / 数値シミュレーション / データ解析 / 上皮細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
古くから生き物の動きは物理学の興味の対象であった。近年特に、物理学の発展によって、新たな手法でこのテーマにアプローチできるようになった。その流れの中で本研究は、細胞の集団での動きに着目する。 多くの細胞組織は静的な構造ではなく、中で細胞達が動き回ったり入れ替わったりする動的な構造である。動き続け入れ替わり続けながらも、細胞間でやりとりすることで全体の極性や集合体の構造(「動的秩序」)を保っている。本研究では、この細胞集団の動的秩序形成がいかなる機構で実現されるのか、またそれが多細胞生物の形態形成にいかに関与するかを、細胞集団遊走の数理モデリングとそれが示す動的秩序の理論的研究により解明していく。
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研究成果の概要 |
私は生きた動的な細胞達が互いに細胞間コミュニケーションを行うことで生み出すダイナミックな集団挙動(動的自己組織化)について興味をもち、それを引き起こしうるメカニズムを理論モデリングと計算機シミュレーションにより調べている。特に本課題では、2次元基盤上で遊走できる細胞達が、接触遊走抑制や接触遊走牽引、接触追尾と呼ばれる多くの細胞種に見られる様式のコミュニケーションを行う場合について主に研究を行い、遊走能とこれらが合わさると極めて多彩な動的自己組織化を示し得ることを明らかにした。また、動的自己組織化に伴い細胞集団が方向性のある外部刺激に対して自然と集団で効率良く応答できるようになることも見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
真核細胞が互いにコミュニケーションしながら集団で遊走する過程は、多細胞生物、特に動物の形態形成などの生き物の機能に重要な役割を果たす。本研究により、そのような細胞の集団遊走挙動を計算するための数理モデリングの枠組みが完成した。また、ある種の真核細胞が実際に示す多彩な集団遊走挙動が、本枠組みから提示される単一のモデルで再現できることが示された。さらに本枠組みを応用することで、細胞の集団に限らず、細胞内の骨格として働く生体高分子の集団の運動に見られるある種の特性も説明できることが明らかになった。本研究により細胞集団挙動も含む多彩な動的秩序形成を理論的に研究するための汎用的方法が確立されたと言える。
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