研究課題/領域番号 |
19K03768
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山口 毅 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (80345917)
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研究分担者 |
松岡 辰郎 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (60252269)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 粘弾性 / マルチスケール / 構造緩和 / 横波超音波 / 高粘性液体 / レオロジー / 超音波スペクトロスコピー / 液体構造 / 粘度 |
研究開始時の研究の概要 |
長さスケールが異なる複数の特徴的構造を有する液体について、MHz~GHz帯での複素粘性係数を測定し、各構造が粘性に与える寄与を実験的に明らかにする。緩和時間は構造により異なることから、複数の構造に起因する粘弾性緩和を評価するためには、幅広い周波数帯での測定が必要になる。そのため、無電極水晶振動子を用いたずりインピーダンス法による測定装置を開発し、複素粘性係数測定の上限周波数を1 GHz程度まで拡張する。NI転移付近の液晶等方相、高級アルコール、長いアルキル鎖を持つイオン液体などを対象とする。MDシミュレーションや、音響光学的手法による並進配向結合の測定も合わせて結果を検討する。
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研究成果の概要 |
無電極水晶振動子を用いたQCM-D法により、液体の複素粘性係数を65 MHz - 3 GHzの領域で測定する手法を開発した。等価回路を用いて試料の誘電応答の影響を補正する方法を構築し、既報の電極付振動子を用いた5 - 205 MHzのQCM-D測定と矛盾しない測定結果を得ることが出来た。本手法をイオン液体やリチウム塩濃厚水溶液、高分子溶液、ナノ流体を含む様々な高粘性液体に適用し、超音波スペクトロスコピーや中性子準弾性散乱と比較することで、これらの液体の粘性発現機構や粘性の原因となる構造の長さスケールに関する解析を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で開発した手法により、5 MHz - 3 GHzという高周波領域、ほぼ3桁にわたる広帯域の粘弾性緩和測定が可能となり、粘度数十mPa sの液体のレオロジーを解析することが出来るようになった。レオロジー測定は粘性の微視的機構の解明に有力な実験手法であり、本研究成果は液体の粘性に対する新たな実験的研究手法を与えるものとなる。対象となる液体はイオン液体や濃厚電解液、コロイド溶液や高分子溶液など幅広く、これらの液体を工業的に用いる上で粘性が重要な物性となる場面も多いため、粘度を制御する材料設計の基礎となる情報を与える研究としての社会的意義も有する。
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