研究課題/領域番号 |
19K03774
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高松 敦子 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20322670)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 結合振動子系 / キメラ状態 / 粘菌 / 複雑ネットワーク / 多重振動 / 分岐 |
研究開始時の研究の概要 |
真正粘菌変形体は細胞の厚みを振動させながら環境中を這い回る。その巨大な細胞を維持するために輸送管ネットワークを発達させた。粘菌が新たな環境に置かれてから適応するまでの期間、ネットワーク形態と時空間パターンは大きく変化する。厚み振動の振動数はその間、単一振動数から多重振動数へと分岐し、その分岐点が、ネットワーク形態と粘菌の行動の分岐点に対応することがわかっている。本研究では、2次元状の複雑ネットワーク上に結合振動子系の数理モデルを構築し、実験観測事実と照合しながら、多重振動数分岐現象の理解を進める。さらに、多様な環境下での観察・解析を行うことで、多重振動数分岐機構の生物としての意味を探る。
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研究成果の概要 |
非線形振動子という柔軟で安定な振動を示す素子間の同期現象は、人工物から生物まで幅広い系で重要な役割を果たしている。その中で、同一の性質を持つ振動子集団でも、ある条件下では、同期する集団と非同期な集団に自発的に分かれてクラスター化する「キメラ状態」という現象が理論的上で発見された。本研究では、真正粘菌変形体という振動性細胞をモデル生物として、その成長過程における振動の時空間パターンを調べ、その存在を明らかにすることを目指した。数理モデルを組み合わせることで、粘菌における空間的に非対称な正と負の相互作用が、粘菌の成長に伴って現れる多様な振動パターンを生成する可能性を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで、非線形結合振動子系に現れる「キメラ状態」という現象は、理論上か、もしくは、単純な化学反応系でしか報告されて来なかった。生物における重要性は指摘されてきたが、これまでそのような報告はなかった。今回、おそらく初めて、生物での「キメラ状態」の報告となる。粘菌のような単純な系を用いることで、「キメラ状態」の生物学的意義を議論することができた。すなわち、粘菌はシステムとして、「キメラ状態」のしくみを利用し、振動の空間パターンを変化させ、環境に留まったり、逃れたりといった適応的な行動をしている可能性が示された。
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