研究課題
基盤研究(C)
高ベータな球状トーラス核融合プラズマ実験装置を使ったプラズマ科学への展開として、独自技術である同軸ヘリシティ入射 (Coaxial Helicity Injection : CHI)を用いたプラズモイド乱流型磁気リコネクション過程の解明とその爆発的なエネルギー解放機構を利用したプラズマ加熱を実現する。磁化同軸プラズマガンを利用した磁気ヘリシティ(磁束管の絡み)をもつ磁化プラズマ入射は自己組織化の構造形成の宝庫でもある。そのため、本研究では、CHI過程で発現する磁気リコネクション、ダイナモ、流れと渦構造、2流体緩和、電場と回転など多彩な非線形プラズマ現象について探求を行う。
兵庫県立大の球状トーラス(ST)型 HIST装置では、同軸ヘリシティ入射(CHI)法によってST配位プラズマを生成している。これまでのCHI実験において、閉じた配位形成過程においてマルチプラズモイドが介在する磁気リコネクションについて独創的な実験結果が得られている。今年度も引き続き、プラズモイドリコネクションと間欠的なイオン加熱との関係性についてデータ解析を行った。長年の研究交流を実施している英国マンチェスター大学のPhilippa Browning教授の研究室を訪問し、本研究課題に関するセミナーを行った。Browning教授の磁気リコネクションミュレーション結果と本実験結果が良く一致していることを互いに確認し、その発生機構について理論からの有益なコメントを頂いた。九大応力研のST装置(QUEST)では国際協力(ワシントン大、PPPL)のもとでCHI実験が行なわれており、今年度も参加協力を行った。その研究成果はロンドンで行われたIAEA-FEC会議やNuclear Fusion誌に掲載された。これまで、中心ポストの周りのオープン磁束コラムの高磁場領域において高密度で反磁性の高ベータプラズマがフローシアによって安定に存在することを見出している。本年度では、それをもとに新しい革新的な炉に発展させるためのアイデアを提案した。ガン電流圧縮Zピンチプラズマのシアフロー安定化生成(Zap-Energyスタートアップ社)の発展型として、中心導体の替わりに液体金属を内部電極表面に沿ってドロップさせて、そこに軸電流を流すことでトロイダル磁場が重畳されキンク不安定性がさらに安定化されるシナリオを提案した。また、軸電流を急増大させることでピンチ圧縮加熱が期待される。現在、分担者神吉隆司氏の協力を得て実施したプラズマの2流体平衡の計算結果については、プラズマ核融合学会で発表を行った。
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Nuclear Fusion
巻: 64
Journal of Fusion Energy
巻: 41 号: 2
10.1007/s10894-022-00338-4
巻: 62