研究課題
基盤研究(C)
私達が日常的に使用しているPC、スマートフォンやIoTデバイスの中の半導体創成工程の多くをプラズマプロセスが占めている。そのプラズマプロセスにおける重要技術の一つは、ナノ粒子サイズの制御である。申請者らは、プラズマに電場揺らぎを印加することで、通常の放電時と比べ、サイズ及びサイズ分散も小さいナノ粒子を製成できることを見出した。しかし、この現象のメカニズムの詳細は明らかになっていない。本研究では、プラズマ中の電場構造に注目し、ナノ粒子量、プラズマ密度の時空間構造を同時計測行うことで、上記メカニズム解明を行う。これにより半導体プラズマプロセス技術の向上や微粒子プラズマ物理への貢献に繋がる。
本研究は、プラズマ中の振幅変調(AM)放電時における時空間的電場揺らぎが存在する中のナノ粒子の成長のメカニズム及び、プラズマプロセスにおける成膜機構におけるAM放電の効果の解明を目的に研究を行った。プラズマ中に発生したナノ粒子量とプラズマ発光の時空間構造を明らかにし、プラズマ発光の増減とプラズマ中の電場揺動とナノ粒子の位置揺動はAM周波数と一致しており、これらのことがナノ粒子成長の抑制に影響していることを明らかにした。また、TEOS-PECVD法によるSiO2成膜においてAM放電は、従来の方法に比べて、気相中のナノ粒子のサイズは小さく、成膜されたSiO2膜の膜質が向上することも明らかにした。
本研究は、AM変調放電による電場振動励起を明らかにし、変調周波数および変調レベルによって制御できるプラズマプラメータを選択できることは学術的・社会的に意義がある。これらの成果は、半導体プラズマプロセスなどにおけるイオンエネルギー分布とイオン角度分布の制御につながる。イオンのエネルギー及び角度の制御は、高いアスペクト比を持つトレンチ構造の側壁膜の膜質向上につながり、AM変調放電が、より精密な成膜方法になりうることを示した。さらに、電場振動とナノ粒子の浮遊位置の関係を明らかにしたことは、AM変調放電手法が、ナノ粒子成長制御だけでなく、ナノ粒子の輸送、成膜技術の向上につながることを示した。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (28件) (うち国際学会 20件、 招待講演 7件) 備考 (1件)
Plasma and Fusion Research
巻: 14 号: 0 ページ: 4406120-4406120
10.1585/pfr.14.4406120
130007723651
http://plasma.ed.kyushu-u.ac.jp/index.html