研究課題/領域番号 |
19K03830
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
田中 和廣 順天堂大学, 医学部, 教授 (70263671)
|
研究分担者 |
熊野 俊三 日本女子大学, 理学部, 教授 (10253577)
川村 浩之 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30415137)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 重力形状因子 / QCD / J-PARC / エネルギー・運動量テンソル / GPD / 3ループ / QCD和則 / 高次ツイスト / TMD |
研究開始時の研究の概要 |
QCDのエネルギー・運動量テンソルのハドロン行列要素は、ハドロンと重力子との相互作用を決定し重力形状因子と呼ばれる。重力形状因子は、ハドロン内部での圧力の分布やハドロン深部環境下でクォーク、グルーオンが感受する力の“ずれ応力”の分布をも表現し、ハドロンがクォークとグルーオンの非摂動効果によってどのように形づくられているかに対して新しい視点を与える量である。J-PARCの2次π中間子ビームをπ中間子の“標的代わり”にした散乱データからπ中間子の重力形状因子検出が可能かどうか理論研究を行う。また、そのデータによって、物質深部の構造・安定性についての新しい視点・理解として何が目指せるのか解明する。
|
研究成果の概要 |
未知であったツイスト4の重力形状因子の前方極限(ゼロ運動量移行)の値を、トレース異常に基づく厳密式を用い、その摂動効果は3ループ、非摂動効果は実験データおよび格子QCDからの最新のインプットで求めた理論予言値として定量計算し、核子とπ中間子で世界最高精度(核子は誤差2%、π中間子は誤差50%)を得た。これは、核子については当初の目標を超えた精密化であり、π中間子についても今後の実験データおよび格子QCD計算の進展によって同様な高精度の予言ができる理論である。この結果を応用して、核子とπ中間子の質量のクォーク、グルーオンそれぞれからの寄与への分解に、新しい結果とそれが示唆する描像の提案もした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
我々の世界を構成する基本要素である陽子を、その内部の素粒子(クォーク、グルーオン)を用いて表現し、素粒子の基礎理論であるQCDに基づいて計算した。特に、重力形状因子と呼ばれる、陽子内でのクォークの空間分布およびグルーオンの空間分布を表す形状因子の前方(運動量移行がゼロ)での値を誤差2パーセント以下の高精度で決定することに成功した。この値は陽子の全エネルギーと関連するため、陽子の質量を、ほぼ質量ゼロである素粒子それぞれの作用を起源とする成分の合計として表す公式を導くことへの応用や、今後の新しい実験データとの比較が待たれるなど、発展性のある結果である。π中間子に対する拡張や関連する他の成果も得た。
|