研究課題/領域番号 |
19K03831
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 順天堂大学 (2022-2023) 成蹊大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
植田 高寛 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50469871)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 摂動論的QCD / パートン分岐関数 / 核子構造 / 量子色力学 / パートン分布関数 / LHC / ファインマン積分 / 素粒子物理学 / 摂動論 / 数式処理 / アルゴリズム |
研究開始時の研究の概要 |
素粒子反応過程に対する理論計算は、加速器実験から得られるデータと素粒子模型を比較する上で重要な役割を持つ。近い将来、精密測定を目的としたILCなどの加速器実験計画がある。実験が精密になればなるほど理論計算も精密に行う必要があるが、近似精度を高めるべく摂動展開の高次項まで求めようとすると非常に困難なものとなる。 本研究では、高次摂動計算でボトルネックとなるファインマン積分の簡約化に対し、新たな自動化手法を取り入れ、従来より高速に実行できる方法を確立することを目指す。この方法が確立できれば、様々な反応過程での高次補正の研究を促進・加速することができ、精密素粒子物理学の進展に寄与できるものと考える。
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研究実績の概要 |
本研究課題の目的の延長線上では、応用として摂動論的量子色力学(pQCD)などによる輻射補正の高次項を求めることによって、精密素粒子物理学のフロンティアを切り拓くことが期待されている。これに関して以下のような研究を行った。 欧州原子核研究機関(CERN)での大型ハドロン衝突型加速器(LHC)実験においては、入射粒子は陽子などのハドロンである。よって、観測される物理量を対象とした理論計算には、必ずハドロン内のパートン分布関数に由来する不定性が存在する。この不定性の原因の一つとして、パートン分布関数の決定に用いられるパートン分岐関数の高次補正項が知られていないことがある。 今回、以前より共同研究者と計算を進めていた、量子色力学での4ループ・パートン分岐関数のモーメントの解析的な計算結果の続報を論文としてまとめた。この計算はスピンがN=2,4,...,10のフレーバー1重項のクォーク演算子とグルーオン演算子の異常次元を計算することにより実行されている。クォーク→クォークの場合に関してはN=12についても計算し、他の手法による計算と結果が一致している。一方、グルーオン→クォーク、グルーオン→グルーオンの場合のN=10の計算に現れるダイアグラムの中で最も難しいものは、計算時間が2×10^8 CPU・秒、途中式のサイズが20TBを超え、このままN=12の計算へと拡張することは困難であると思われる。なお、すべての計算結果は、様々な既知の部分的な結果と無矛盾である。 また、今回の結果を取り込んだ4ループ・パートン分岐関数の近似式を構築した。得られた異常次元の結果と、4ループ・パートン分岐関数の近似ルーチンは、他の研究者が容易に利用できる形で公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題の主題であるファインマン積分の簡約化そのものにはあまり研究時間を割けておらず、あきらかに研究が進んでいないため。
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今後の研究の推進方策 |
未完成のプログラムを完成させて公開し、論文としてまとめる予定である。
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