研究課題/領域番号 |
19K03832
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 二松學舍大學 |
研究代表者 |
岩崎 愛一 二松學舍大學, 国際政治経済学部, 教授 (90203356)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | アクシオン / 太陽スピキュール / 共鳴 / 太陽磁場 / 量子ホール効果 / 高速電波バースト / ブラックホール / 降着円盤 / 超伝導体 / 表面電流 / 共鳴管 / 暗黒物質 / 超伝導 / 電波 / 中性子星 / 膠着円盤 |
研究開始時の研究の概要 |
我々がよく知る惑星、恒星、銀河、あるいは星雲等は、宇宙全体の5%ほどである。その4倍ほど多く存在していると考えられているのが、未知の物質、すなわち暗黒物質である。未知ではあるが有力な候補がアクシオンである。捕えどころが無い故、今までは観測できなかった。一方、強力な電波が宇宙からたった数ミリ秒ではあるが観測された。数ミリ秒で太陽が1日で放つエネルギーを放出しているのである。この電波源の謎に迫る研究が、暗黒物質アクシオンによる強力な電波放出である。アクシオンが、太陽磁場の10臆倍以上強い領域が宇宙にはあり、そこでその電波を放出するのでは、という研究を進めている。
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研究実績の概要 |
暗黒物質アクシオンが、太陽表面に現れる太陽スピキュール中で、電波に変わることを考慮して、その電波の強さを評価した。太陽スピキュールは太陽表面にくまなく存在し、その中では、磁場が100ガウスから1000ガウスに達する。スピキュールは爆発現象(ジェット)であり、太陽の彩層からコロナに伸びる。その太さは100㎞ほどもあり、その中の電子密度も測定されている。その電子密度に対応するプラズマ振動数が、丁度、考えているアクシオンの質量である10の-4乗電子ボルトから10の-5乗電子ボルトほどで、そのため、共鳴的に、アクシオンからプラズマを介して電波への変換が起こる。一つ一つのスピキュールから発生する電波は、共鳴がない場合に比べ大きく、かつ、太陽表面はそのスピキュールで覆われていると考えられるので、多数のスピキュールがあるため、全体として強い電波(マイクロ波)が発生する。その電波強度は、地上での観測では、10の-6乗ジャンスキーほどである。しかし、残念なことに太陽表面からの熱放射による電波強度が強いため、アクシオンからの電波を覆い隠してしまい、その観測は難しいと思われる。 暗黒物質アクシオンは物性にも影響があると考えられる。特に、量子ホール効果は超磁場中で成り立つ現象である。そのため、必然的にアクシオンによる電波の発生が避けられない。弱い電波であるが、極低温での量子ホール効果現象にそれは影響を及ぼしうる。現在、整数量子ホール効果での、プラトー間の遷移にそのアクシオン効果が影響しているかを計算中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
暗黒物質アクシオン探査は、様々な方法が用いられてきた。しかし、いまだに、決定打となるほどの優れた探査法はない。ここでの研究は、新しい探査法を見出すことである。この2,3年は、金属を用いた探査法、あるいは天体現象に関連したところで、アクシオンの足跡が見られないかと研究してきた。特に、金属板2枚を平行に設置し、その間隔を調整することで、その2枚の間で、アクシオンから発生した電磁波が共鳴して、大きな電流が金属板の中を流れる。これは、金属版の間隔を1ミクロンの精度で調整する必要があるが、それが出来れば、有用なアクシオン探査法であることを示した。さらに、よりよい探査法が望まれるが、まだ、誰も考えていない方法が、量子ホール効果を利用したものである。このアイデアは順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
最近は、嘗て精力的に研究してきた半導体を用いた量子ホール効果において、アクシオン効果が見いだせないかを研究している。いままで世界中の誰もがやっていない領域での研究である。素粒子物理学者が、あらためて勉強するにはハードルが高い領域である。ゆえに、量子ホール効果におけるアクシオンの影響を調べることは、私には有利である。そこで注目していることは、整数量子ホール効果における低温での非コヒーレンスな現象である。温度ゼロでは、すべての状態がコヒーレントになる。少なくとも、外部との接触がなければそうなる。しかし、実験ではそうならない現象がある。量子ホール効果でのプラトー間の遷移がそれである。その非コヒーレントな現象がアクシオンによるとして説明可能かを研究している。
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