研究課題/領域番号 |
19K03842
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鎌田 耕平 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (60835362)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | カイラル量子異常 / バリオン数生成 / 初期宇宙磁場 / アクシオン / カイラル磁気流体力学 / 重力波 / カイラル効果 / 宇宙磁場 / インフレーション / 物質反物質非対称 / 右巻きニュートリノ / バリオン等曲率揺らぎ / アフレック=ダイン機構 / 初期宇宙 / 物質反物質非対称生成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、初期宇宙磁場を軸にとした宇宙論の包括的な研究を行う。初期宇宙磁場の存在の検証、起源を探ることを通じてそれと密接に関わる初期宇宙の諸現象を明らかにし、これまでと全く違った新物理のヒント、そして初期宇宙像を得ることを目指し、そのための土台を確固たるものにすることを目的とする。具体的には、宇宙スケール離れたところで起こった天体現象から、現在の宇宙磁場の存在の検証を目指す観測的アプローチと、インフレーション等の初期宇宙で起こった事象を通じて初期宇宙磁場を生成する機構の構築、および初期宇宙における磁場の発展の理論的定式化をめざす理論的アプローチを相補的に用い、研究を遂行する。
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研究成果の概要 |
初期宇宙磁場とバリオン及びカイラル非対称の発展に関してさまざまな重要な研究成果を挙げた。特筆すべき結果としては、電弱相転移時に磁場によりバリオン非対称の空間揺らぎが不可避的に生成し、それがビッグバン元素合成と無矛盾であるための条件から、初期宇宙磁場の強さに上限を与えたことが挙げられる。これにより現在観測で示唆される銀河間磁場の起源は電弱相転移以降のプロセスに求めなければならないことになった。また、アクシオンインフレーションシナリオにおける磁場と物質の発展の包括的な理解を得たこと、磁場の引き起こす効果と類似の効果を重力波が引き起こす現象に関する先駆的な研究をおこなったことも重要な成果である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在の宇宙のバリオン非対称の起源は、宇宙論研究の中でも最も重要な課題の一つである。磁場によるバリオン数生成は理論的整備や検証方法の提案が近年進んでいる興味深い機構である。本研究の成果により、この機構が働くためのシナリオ構築が進み、また、この機構が働いた後の宇宙の磁場や物質の発展に関する理解が深まった。観測的検証においては、宇宙の熱史全体のシナリオ依存性がありうるが、それを含めて将来の検証にむけて大きな前進が得られたといえる。
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