研究課題/領域番号 |
19K03843
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小池 裕司 新潟大学, 自然科学系, 教授 (60262458)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ハイペロン偏極 / コリニアーツイスト3因子化 / 摂動QCD / 半包含深非弾性散乱 / 破砕関数 / クォークグルーオン相関 / シングルスピン非対称 / TMD因子化 / グルーオン多体相関 / ツイスト3 / コリニアー因子化 / SIDIS / コリニア―因子化 / 高エネルギーハドロン反応 / パートン間量子多体相関 / ツイスト3効果 / パートン分布破砕関数 / ツイスト3効果 / 高次ツイスト効果 / 核子構造 / パートンエネルギー損失 / 中間子波動関数 |
研究開始時の研究の概要 |
量子色力学(QCD)に基づく高エネルギーハドロン反応の完全な記述とハドロン構造の解明のため, QCDの「高次ツイスト効果=パートン(クォークとグルーオン)間の量子多体相関効果」が本質的役割をする問題に取り組む。特に,電子核子,核子核子衝突で観測されてきた大きなシングルスピン非対称に対する高次補正を導出し,実験データのグローバル解析も実行する。それによりスピン非対称の起源を解明するとともにパートン模型を超えた核子構造に関する知見を得る。この手法の応用として,核物質中でのパートンのエネルギー損失やテンソル中間子の波動関数の解析にも取り組む。
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研究実績の概要 |
スピン偏極していない電子と核子の高エネルギー衝突から包含生成されるハイペロンの横偏極現象は、高エネルギー過程を解析する伝統的枠組みであるパートン模型と摂動QCDでは説明できない。この現象はハドロン中のクォークグルーオンの量子多体相関やクォーク・グルーオンの持つ固有横運動量によって引き起こされる。これらの効果は、それぞれ、コリニアーツイスト3因子化ならびにTMD因子化と呼ばれる理論的枠組みによって系統的に取り入れることができる。この2つの枠組みは、生成ハイペロンの衝突軸に対する横運動量P_Tの大きさによって適用できる運動学領域が異なる。前者はP_Tの大きな領域、後者はP_Tの小さな領域で適用可能である。いずれも強い相互作用の基礎理論であるQCDに基づいた理論であるので、両者はP_Tの中間領域で整合的にマッチすることが予想される。本研究では、上記の半包含深非弾性散乱過程でのハイペロン生成について、この2つの枠組みで、それぞれ反応断面積を計算し、両者の整合性を調べた。コリニアーツイスト3因子化におけるこの過程の断面積は、核子中のツイスト3分布関数の寄与とハイペロンのツイスト3破砕関数の寄与がある。前者についてはこの整合性は確立されていたので、今年度の研究では後者について詳しく調べた。その結果、その寄与についても確かに両者はP_Tの中間領域において、等価な寄与を与えることが確かめられた。この研究により、2つのQCDに基づく理論的枠組みは統一されたことになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ハイペロン偏極を含むシングルスピン非対称(SSA)に関する研究が重要な研究テーマであった。コリニアーツイスト3の枠組みで、QCDの結合定数について最低次の近似で、予定していた物理的過程に対する断面積の解析公式の導出を完成させた。そしてそれらは、TMD因子化と整合的に低P_Tの領域に繋がることも示した。当初の予定では、これらの課題をもっと早く完成し、SSAに対する結合定数について次主要補正を取り入れる研究を行う予定であったが、まだ成果が得られていないため、やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
半包含深非弾性散乱におけるハイペロン偏極現象に対するコリニアーツイスト3因子化とTMD因子化の整合性に関する成果を論文にまとめる。SSAに対し、次主要補正を取り入れる研究を本格的に開始する。
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