研究課題/領域番号 |
19K03848
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鈴木 恒雄 大阪大学, 核物理研究センター, 協同研究員 (60019502)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | QCD / カラーの閉じ込め / モノポール / 双対マイスナー効果 / ブロックスピン変換 / 逆モンテカルロ法 / 格子QCD / 計算機シミュレーション / SU3 QCD / 非可換ビアンキ恒等式の破れ / クォークの閉じ込め / Monte-Carlo計算 |
研究開始時の研究の概要 |
原子核を構成する陽子や中性子は、分数電荷を持つクォークと呼ばれる粒子から構成されていることがわかっているが、現実の実験では直接観測されておらず、閉じ込めという現象が起こっている。クォークの力学は、力を媒介するグルオンとクォークで構成される量子色力学(QCD)で記述されるが、ほぼ半世紀にわたって、どのような機構でクォークの閉じ込めが起こっているかということは、わかっておらず、QCDでの最大の未解決問題となっている。この問題を、よく知られた物質の超電導現象と類似の機構で、グルオン場の異常性に起因して現れる磁気的なモノポールの真空凝縮で起こっているという考えの正しさを検証しようとしている。
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研究実績の概要 |
ゲージ場の特異点に起因するモノポールの真空凝縮でQCDにおける長年の未解決問題であるカラーの閉じ込めが理解できるかどうかの研究を引き続き行ってきた。手法は、大阪大学のCMCにあるSQUID計算機を用いたモンテカルロ計算である。昨年度前半は、この描像で期待される可換成分およびモノポール成分のみで、閉じ込めの指標と言われる弦定数が連続極限でも再現されるかを、多くの結合定数で48^4という格子上で調べて、連続極限で期待されるふるまいを再現しそうであるという結果を得た。この結果は、Physical Review Dに発表され、2023年8月の「Lattice2023}国際会議及び9月の物理学会で発表した。これらの計算は、ネットワークを経由して行っており、ネットワーク環境にとって最も重要なPCを更新した。また、大阪大学RCNPで、中村純氏と議論を行った。年度の後半は、JLDG(日本のLattice Database)に公開されている軽いクォークの入ったデータと自分で作成したグルオンのみのデータを比較して、真空中のモノポールの振る舞いや分布、さらには、モノポールのブロックスピン変換という独自手法で、モノポール密度や有効作用を調べた。これらの量は、本来は理論の結合定数ベータとブロックスピン変換の回数nの2点に依存する2点関数であるが、計算結果は、b=na(beta)という量だけに依存する1点関数となるスケーリング則を満たすことを発見した。このスケーリング則は、ブロックスピン変換は今の研究では、n=12までしか調べてないが、もっと大きなnまで同じ振る舞いが期待されるので、連続極限を意味する。また、なぜ可換なモノポール凝縮で非可換なカラーの閉じ込めが説明できるかという理論的な内容でも、新しい知見を得た。この結果は、現在論文として整理中で、2024年3月の物理学会で一部発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
軽いクォークの入った場合の計算は、JLDGに公開されたデータで重要な計算が一部であるができた。
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今後の研究の推進方策 |
モノポールに関するブロックスピン変換を用いた現在進めている連続極限の存在を調べる研究は、論文をまとめる。さらに、モノポールが、有限温度での閉じ込め・非閉じ込め相転移に関して、本質的であるかどうかを調べる。
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