研究課題/領域番号 |
19K03859
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
木村 真明 北海道大学, 理学研究院, 教授 (50402813)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | クラスター共鳴 / 元素合成 / 核融合反応率 / 天体核反応 / クラスター / 共鳴状態 / 不安定核 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、以下の2課題を実施する 課題 1 α非弾性散乱の解析による、クラスター共鳴のエネルギーと崩壊モードの決定 α非弾性散乱の解析を行い、共鳴エネルギ ーを決定する。また、新たに開発したLaplace展開法を用い、共鳴の崩壊モードを決定する。 課題 2 新しいクラスター反応模型の開発による、炭素燃焼過程の反応率評価 現象論的パラメータを含まない微視的クラスター反応模型を新たに構築し、反応率を高精度で求める。課題1で求めたクラスター共鳴や連続状態の波動関数を、Closed Channel法を用いて散乱の境界条件に接続し、炭素燃焼過程を記述する。
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研究実績の概要 |
2021年度は、炭素燃焼過程で重要な役割を果たす12C+12C共鳴の研究を中心に行った。反対称化分子動力学を用いて、12C+12C共鳴のエネルギーと崩壊分岐比を求め、その結果 から天体での熱核融合反応率を見積もった。その結果、求めた反応率は高温領域での測定値と非常によく一致し、さらに実験測定が困難な低温領域において信頼性の高い理論予想を示すことに成功した。また、様々な密度汎関数を用いた計算を行うことで、原子核模型の不定性がどの程度反応率の不定性に伝播するのかを示した。以上より、本研究計画で最も重要な目的であった「微視的な核構造計算による核融合反応率の評価」をほぼ達成することができた。これらの成果は 1編の査読付き原著論文として掲載済み、また別の一編として投稿準備中である。また、この研究で開発した理論手法を適用することで、以下の発展的課題に取り組んだ。(1) クラスターの回転効果を記述する理論手法を応用し、変形した芯核を持つ中性子ハロー(31Ne)の構造を記述した。また、結合定数解析接続法を用いることで共鳴状態のエネルギーと崩壊幅を見積もった。(2) アイソスピン空間で波動関数を回転することで基底波動関数を生成し、その重ね合わせによって、アイソバリックアナログ状態とアイソスピン対称性の破れを記述する理論的枠組みを構築した。放射捕獲反応などへの応用が期待される。以上、5編の査読付き原著論文として投稿済みであり、うち4編は掲載済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「微視的な核構造計算による核融合反応率の評価」という、計画当初の目標を達成し、順調な進捗である。また、その過程で開発した理論手法は汎用性があり、他の天体核反応にも適用可能であるため、大きな展開が見込める。ただし、コロナ禍の影響により成果発表の場として位置付けていた研究会が軒並み延期、あるいは中止となった。その結果、成果のアピールという点では十分な結果を出せなかった。
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今後の研究の推進方策 |
予定していた、成果発表のための海外出張が全てキャンセルとなったため、余剰の旅費を翌年度に繰越し、計画を延長することとした。この予算を用いて、国内の共同研究者との研究連絡を行うとともに、成果発表をアピールしていく。本研究計画で開発した手法は、さまざまな天体核反応に応用可能であるため、さまざまな応用を検討している。具体的には、12C+16O核融合反応、12C+α放射捕獲反応の研究を行う。
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