研究課題/領域番号 |
19K03867
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
大村 雄司 近畿大学, 理工学部, 准教授 (00772097)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 暗黒物質 / フレーバー物理 / コライダー実験 / 自発的対称性の破れ / LHC実験 / 対称性の破れ / 素粒子物理 / 素粒子論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、宇宙の真空構造と暗黒物質(DM) を解明するために、(未知の)弱い相互作用をするDM に注目し、DM のスピンや相互作用の種類といった性質から数多くあるDM模型の分類分けを行う。その分類分けに基づき、それぞれの模型の重要な実験バウンドを総括し、そこから各々のDM 模型を有効的に導く理論体系を探求し、期待される宇宙の真空構造、素粒子標準模型の背後にある物理を解き明かす。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、宇宙の真空構造と暗黒物質(DM)の解明を目的としている。DMの候補としては、他の素粒子と(未知の)弱い相互作用を通して熱的に生成されるDMを考えている。この研究期間中では、DMとレプトンが湯川相互作用をする模型(レプトンポータルDM模型)に着目し、ボトムアップ的に具体的な模型を構築してDMの物理的性質に基づいて模型の分類分けをおこなっている。その上で、それぞれの模型の実験バウンドと将来実験での検証方法を研究している。特に今年度は、論文Phys.Rev.D106(2022)1,015005 (論文1)、JHEP03(2023)010(論文2)において、最新の実験結果に基づいた研究を行い、論文1ではフレーバー実験とコライダー実験で報告されている「標準模型の予言からのずれ」の背後にレプトンポータルDM模型が存在する可能性を提案し、実験でのDMの検証可能性を研究した。また、近年のDM直接探索実験の目覚しい成果により、本研究で注目するようなDMは非常に強い実験バウンドを受けている。論文2では、その強いバウンドから逃れられる、DMの質量が非常に軽いレプトンポータルDM模型を構築して検証方法の研究を行い、研究成果を研究会で発表した。 その他にも、余分にヒッグス場がある模型や標準模型のゲージ対称性が拡張された模型(Pati-Salam 模型)でフレーバー物理とコライダー物理を解析し、我々の真空構造の解明に向けた現象論的研究を進めた。今後、これらの研究を踏まえて真空構造とDMの関係を調べていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度もコロナ禍の影響により、研究を進める上で難しい場面が多々あった。参加を予定していた研究会も、海外渡航が難しい状況であったため参加を見送ったり、共同研究者とオンラインでしか連絡がとれず、しばしば情報交換が滞る時があった。 本研究課題の一つの目的である「暗黒物質模型の分類」は順調に進んでいるが、フレーバー実験やコライダー実験での新しい結果が公表されているなかで、情報を思うように得られず、研究成果を発表する機会が未だ少ない状況が続いた。来年度より、新型コロナウィルスの影響が少なくなることが期待されるので積極的に研究会に参加し、最新の実験結果や理論研究を踏まえた上で、研究を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
フレーバー実験やコライダー実験の最新結果が出てきており、今後もさらに新しい結果が発表されることが期待できる。レプトンポータル暗黒物質模型といった特定の模型で研究を進めることが多いが、最新の実験結果を踏まえてそれに応じた模型を考え、暗黒物質と宇宙の真空構造、さらには暗黒物質とフレーバー物理やコライダー実験での観測量との関係も研究していく。来年度は新型コロナウィルスの影響が少ないと期待できる。積極的にオンラインでの議論を活用しながら他の研究者と情報交換し、本研究課題の研究を進めていく。
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