研究課題/領域番号 |
19K03872
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
國廣 悌二 京都大学, 理学研究科, 名誉教授 (20153314)
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研究分担者 |
吉田 賢市 京都大学, 理学研究科, 助教 (00567547)
菊池 勇太 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 理研BNLセンター研究員 (90838799)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | くりこみ群法 / 因果律を満たす相対論的散逸流体方程式の導出 / メゾスコピックダイナミクスの導出 / カラー超伝導の前駆現象 / 軽粒子対生成率 / 断熱接続法 / 緩和時間の微視的公式の導出 / 相対論的量子ボルツマン方程式 / 因果律を満たす流体方程式 / 密度汎関数理論 / 汎関数くりこみ群 / 超流動 / 対称性の自発的破れ / 超流動のKohn-Sham 理論 / 交換-相関項 / フロー方程式 / 有効作用 / Kohn-Sham 理論 / 量子多体系 |
研究開始時の研究の概要 |
汎関数くりこみ群に基づく密度汎関数理論(FRG-DFT)を発展させ「ハミルトニアンから出発した実践的な密度汎関数理論の確立」を目指す。具体的な課題は以下の通り:(1) 空間2,3 次元への適用、(2) スピンやアイソスピンなどの内部自由度の取り入れ、(3) 有限温度系への適用、(4) 非一様系への適用、(5) 上記のそれぞれについて励起モード/スペクトル関数の計算。(6) 第一原理計算に基づき流体方程式などの非平衡非線型ダイナミクスの導出を目指す。そこではその発展に申請者が寄与した力学系の縮約法である「くりこみ群法」とFRG-DFTを結び付けた理論を展開する。
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研究実績の概要 |
1) 我々のくりこみ群法による量子統計に基づく非相対論および相対論系における因果律を見たす流体方程式の導出についてのモノグラフをSpringer社から出版した。そこでは、ゼロモードだけではなく励起状態も取り入れたメゾスコピックダイナミクスの一般的な導出方法を簡明な方法で示すとともに、導出した粘性率だけでなく緩和時間の微視的な表式に基づく詳細な数値計算方法を提示し、且つ数値結果も示した。緩和時間のこのような微視的な導出/計算は我々の知る限り世界初のものである。 2) 汎関数くりこみ群法を適用する物理的系として量子色力学(QCD)におけるカラー超伝導およびQCD臨界点近傍のソフトモードの解析とその重イオン衝突での実験的検証手段として軽粒子対生成率への影響を摂動論的に調べた。その結果、物性系で知られているアズラマゾフ-ラーキン過程などのソフトモードの非線形効果のために軽粒子対生成率が大きく増大することがわかり、これらのQCD相転移の実験によるよいプローブの候補になることが分かった。また、後者では系が臨界点に近づくにつれ電気伝導率が増大し発散することも示した。これらはそれぞれ論文として出版した。 3)我々の汎関数積分に基づく密度汎関数理論の枠組みは、技術的には量子化学や物性理論で知られている断熱接続法(adiabatic connection method)と類似性があることが判明した。ただし、我々のくりこみ群法に基づく計算方法はより系統的な近似方法になっている。そこで、後者の方法で扱われている問題に我々の方法を提供する検討を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のために共同研究者と直接会って議論する機会がなく、そのために集中した議論が難しく具体的に進行することができなかった。また、数値計算担当の共同研究者の一人が異なる地域の研究所のポスドクに採用されたために、本課題に専念することが難しかった。それらのこともあり、本課題に関係するが直接的な理論展開には結びつかない予備的な研究に専念することになった。それ自体はまとまったモノグラフや論文としてまとめられた。
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今後の研究の推進方策 |
1) 昨年度から検討を始めている断熱接続法と我々の方法の関係の定式化を完成させる。2)断熱接続法による成果を参考にしつつ、我々の方法を以下のような具体的な系に適用していく。2-a)中性子物質を含む核物質系の状態方程式の導出。まず、中心力とテンソル力の導入。次に、ウィグナー関数を用いたスピン-軌道力の導入を試みる。2-b) α粒子やテトラ中性子系など少数核子系。2-c) 断熱継続法にり計算されている水素分子の乖離曲線の計算。2-d) 我々の方法では有限度且つ励起スペクトル関数の計算も容易なので、様々な量子多体系の輸送係数の計算の検討を行う。
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