研究課題/領域番号 |
19K03875
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 (2021-2022) 京都大学 (2020) 慶應義塾大学 (2019) |
研究代表者 |
伊藤 悦子 国立研究開発法人理化学研究所, 数理創造プログラム, 上級研究員 (50432464)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 有限密度QCD / QCDの状態方程式 / QCD相図 / 第一原理計算 / 符号問題 / 状態方程式 / 量子計算 / アノマリーマッチング / QCD粘性 / 格子シミュレーション / トポロジー / 素粒子論 / 格子ゲージ理論 / 量子色力学 / 有限密度系 |
研究開始時の研究の概要 |
2カラーQCDの有限密度系を格子シミュレーションを用いて調べ、QCD の有限密度下における定性的な知見を得る。近似を使わない第一原理計算を用いて相図の決定と各相における物理量の計算を行い、相転移現象や各相の性質を解明する。 特にこれまで研究が困難であった「低温高密度領域」を中心に調べ、そこで実現されていると思われる「超流動相」の性質の解明に挑む。 特に、BCS 関係式を用いたゼロ温度におけるダイクォークギャップの導出、グラディエントフロー法を用いたトポロジカル電荷やエネルギー運動量テンソルの測定を行い、物質中のQCD のトポロジカル感受率、熱力学量、輸送係数の密度依存性を理解する。
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研究成果の概要 |
2カラーQCDの有限密度系を格子シミュレーションを用いて調べ、QCD 型理論の有限温度での新しい現象を発見した。特に研究が困難な低温高密度領域を中心に、まずその相図を調べた。密度を上げると、ハドロン相、ハドロニックマター相、超流動相が存在し、超流動相には「ボーズアインシュタイン凝縮相」と「BCS相」があることもわかった。また、グラディエントフロー法を用いてトポロジカル電荷を調べ、高密度領域でもトポロジカル感受率が比較的大きいという新しい結果を得た。さらに、熱力学量(エネルギーや圧力)の密度依存性も調べ、BCS相で音速がコンフォーマル極限の値(c/sqrt(3))を超えるという新しい知見を得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
3カラーの低温高密度QCDは、中性子星の内部で実現されていると考えられており、その性質の解明は宇宙・原子核・素粒子分野において大きな課題となっている。また、そこではQCDの物質は、超流動状態になっていると考えられており、物性としても興味深い。しかしながら、理論的には格子QCDの第一原理計算が付合問題により実行不可能である。 我々は、カラーの自由度を一つ落として符号問題の生じない理論で第一原理計算をおこなった。2カラーQCDは少なくともゼロ密度で3カラーと同じ性質を持つ。我々のいくつかの新しい結果は3カラーの高密度現象にさまざまな制限を与え、その理解への足掛かりとなった。
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