研究課題
基盤研究(C)
約7千万年前に形成され、隆起・沈降後1千万年前に現在の状態に安定した土岐花崗岩は、1千万年の間、地球に入射してくる銀河宇宙線が大気中で生成した高エネルギーミュー中間子の照射を受けて生成されBe-10、Al-26を蓄積している。その宇宙線生成核種の測定は過去1千万年にわたる宇宙線強度変動を直接的に観測する唯一の手段であり、未知の領域である宇宙線スペクトルの長期変動の直接的探索である。
深度100 mまでの土岐花崗岩ボーリングコア試料を用いて、高エネルギー宇宙線ミューオンが地下花崗岩の石英中に生成し蓄積した宇宙線生成核種Be-10(半減期136万年)、Al-26(半減期72万年)の濃度を加速器質量分析法により測定した。また、ミューオンビーム照射実験とシミュレーションにより両核種の生成断面積を確定した。高エネルギー宇宙線ミューオンの地下深度分布と生成断面積から地下花崗岩における両核種の生成率と蓄積された核種の放射能濃度の深度分布を求め、実験結果と整合していることを明らかにし探索法の有効性を示唆した。
本研究の100 mの深度での実験データは、国際的に見ても1例程度の先行研究しかない。さらに世界的にみても例をみない3次元的岩石情報を取得している土岐花崗岩体からの単一ボーリングコア試料による系統的分析測定結果は本研究が唯一のものである。本実験研究で導出した生成断面積は、世界に先駆けたデータであり学術的に大きな意義がある。また、高エネルギー宇宙線により過去1千万年の銀河の様子を調べることは社会文化的貢献でもある。
すべて 2024 2023 2022 2021 2020 2019
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
PHYSICAL REVIEW D
巻: 109 号: 10
10.1103/physrevd.109.102005
Journal of Asian Earth Sciences
巻: 265 ページ: 106091-106091
10.1016/j.jseaes.2024.106091
American Mineralogist
巻: 107 号: 12 ページ: 2282-2290
10.2138/am-2022-8229
巻: 106 ページ: 1128-1142
Scientific Reports
巻: 10 号: 1 ページ: 1-7
10.1038/s41598-019-57273-2
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section B: Beam Interactions with Materials and Atoms
巻: 459 ページ: 64-70
10.1016/j.nimb.2019.07.046
巻: 104 ページ: 536-556