研究課題
基盤研究(C)
原子核をはじめとする高密度環境下では、カイラル対称性が回復すると考えられており、その帰結として質量変化が起こり得る。実験的にこの質量変化を検出する方法として、高温高密度物質中でベクトル中間子φ中間子の不変質量を、ハドロン(K中間子)崩壊モードを用いて測定することが大変有効である。本研究では、この為に必須であるハドロン粒子識別用の測定器の開発と運用を行う。
ベクトル中間子生成の研究の為に、K中間子などの粒子識別装置の改良とハドロンビームラインを用いての運用とを、重ねることにより、系統的な測定の基盤となるシステムの開発を行った。具体的には、(i) 新規のデジタイズ読出し回路系の導入、(ii) 運動量解析用磁石磁場との信号干渉の除去、(iii) 飛跡検出器系との信号干渉のないトリガーシステムの構築などを通じて、中規模程度の感応領域をもつ測定器系を、モジュール化して作製し運用可能にすることにより、実現させた。
本研究開発で開発・運用された、ハドロン粒子識別装置の基礎要素は、その製作技術と共に、国内外の他の研究機関で行われる実験にも普及する事もでき、大変普及効果が大きい。併せて、更に高統計のデータ収集を行うために、測定領域の高度化と精密化にむけて指針を示すことも出来た。
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