研究課題/領域番号 |
19K03902
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
北口 貴雄 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (30620679)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | X線 / 偏光 / 科学衛星 / 宇宙 / 天体 / 機械学習 / ブラックホール / 宇宙ジェット / X線 |
研究開始時の研究の概要 |
ブラックホール (BH) から相対論的な速さで吹き出すジェットの生成機構は、天体物理学の未解決問題の一つである。莫大なパワーの供給源として、BH の自転エネルギーが有力説だが、観測的な検証は不十分である。そこで本研究では、2021 年にX線偏光観測衛星を打ち上げ、X線偏光を用いた新プローブで BH 自転速度を決めて、ジェットのエネルギー源が BH 自転に起因するか検証する。偏光検出の天体数および精度を上げるには装置の高度化が必要であり、機械学習を用いた新手法を導入する。この方法はあらゆる天体の偏光観測に応用できるので、本研究により 2020 年代に花開くX線偏光天体物理学の発展を加速させる。
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研究成果の概要 |
天体をX線の偏光を用いて観測するという新しい手法を実現し、それを系内で最も明るいブラックホール連星系 Cygnus X-1 に適用した。観測したX線は4%ほど偏光していて、その電場方向は電波で輝く宇宙ジェットの向きと揃っていることが初めてわかった。この観測結果を説明するには、X線はジェットと垂直な方向に拡がったプラズマから放たれ、それが円盤で散乱して、円盤を横から見ている我々まで届いたと考えられ、今まで解けなかったブラックホール付近のプラズマの幾何情報を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ブラックホールを含む連星系はX線で明るく輝くことは知られていて、発見から 50 年以上経つ今でも盛んに観測されている。しかし、X線を放出する高温プラズマがブラックホール付近にどのように分布しているかは不明であり、今も議論が続いている。その理由は、X線のエネルギー分布 (スペクトル) に特徴が少なく、情報が縮退しているためである。この情報縮退を解くために、新しい物理量であるX線の偏光を測り、ブラックホール周辺のプラズマの幾何情報を初めて導いたのが、本研究の成果である。
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