研究課題/領域番号 |
19K03917
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鮫島 寛明 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (10748875)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 近赤外線高分散分光 / WINERED / スペクトル / 褐色矮星 / 活動銀河核 / 恒星 / スペクトルライブラリー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では圧倒的な感度を備えた近赤外線高分散分光器WINEREDを用い、恒星をはじめとする様々な天体の高品質なスペクトルを取得する。高分散分光により細かい吸収線を一つ一つ分解して解析することにより、どのような原子や分子が恒星に存在するかを調査する他、不定性の大きい物理定数である振動子強度を天文観測の観点から較正することを目指す。取得したスペクトルをライブラリーとして公開することにより、天文学にとって基盤となる情報を世界に向けて発信する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、圧倒的な感度を備えた近赤外線高分散分光器WINEREDをチリ共和国のラスカンパナス天文台にあるマゼラン望遠鏡に設置し、様々な天体の高品質な近赤外線高分散スペクトルを取得してライブラリーとして公開することである。WINEREDによって得られる高品質かつ高分散なスペクトルには大量の吸収線および輝線が現れ、これは可視光と比べて研究が進んでいない近赤外線領域におけるこれら吸収線・輝線の基本的な性質、例えば強度を決める物理定数である振動子強度を調査するための貴重な観測データとなる。加えて褐色矮星という恒星と惑星の中間に位置する天体のスペクトルは、近年盛んに行われている系外惑星探査に関しても、ドップラー法による検出を行う上での参照源としての利用が期待できる。 しかしながら、技術的な問題に加えて新型コロナウイルスのパンデミックに伴う混乱により、当初予定されていた2019年のチリ共和国へのWINEREDの移設は延期となり、当初の予定から約3年遅れた2022年にようやくマゼラン望遠鏡での観測が実現した。 2023年度はマゼラン望遠鏡でのWINEREDの観測が6月と11月に実施され、うち11月の観測にはチリ現地に赴いて観測を遂行した。2022年には高温かつ明るくて観測が容易なL0型褐色矮星を観測したが、今年度はより観測が困難な低温のT0型およびT4.5型褐色矮星の観測に成功し、ライブラリーの観点では重要となる温度についてのサンプルの広範化が達成された。過去の研究で自転周期が5時間と推定されているT0型褐色矮星については、1時間ごとに1回、3時間に渡る観測を行い、自転に伴う時間変動の有無についても調査できる可能性のあるデータセットを確保できた。現在は詳細な解析を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスにより発生したパンデミックの影響で、当初の計画から約3年の遅れが生じた。このような困難な状況に見舞われながらも、2022年にはチリ共和国マゼラン望遠鏡でWINEREDを搭載した観測をついに開始することができた。2023年は本助成金を利用して初めて現地に赴くことができ、観測所オペレーターや共同研究者とコミュニケーションを取ることで柔軟な観測を行い、高品質なデータセットを取得することに成功した。このようにやむを得ない事情で遅れが発生してしまったが、計画を延長することで当初の目的は達成されつつある。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに褐色矮星3天体の観測を達成した。ライブラリー構築においては様々な温度の褐色矮星のスペクトルを取得することが決定的に重要であり、これら3天体でL0型からT4.5型までをカバーできている。エシェル分光器で得られる情報は極めて膨大であるが、丁寧に解析することで各天体のスペクトル的特徴をまとめる。これら3天体は褐色矮星ライブラリー構築の先行研究にあたるものでも観測されているが、本研究で取得したデータは波長分解能が同程度以上かつ観測波長域は上位互換となっており、両者の間で違いを調べることで新たな発見の有無を調査する。3天体のうち1天体は3回の繰り返しの観測データを取得しており、褐色惑星大気と自転の関係など、時間軸的な観点からも調査する方針である。またマゼラン望遠鏡に赴いて新たな観測を行い、褐色矮星のサンプルを増やすことも検討している。
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