研究課題/領域番号 |
19K03929
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
岩崎 一成 国立天文台, 天文シミュレーションプロジェクト, 助教 (50750379)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 分子雲 / 粒子多体系 / 星形成 / 渦状腕 / 銀河 / 重力多体系 / 銀河渦状腕 / 星間媒質 / 磁気流体力学 / 熱的不安定性 |
研究開始時の研究の概要 |
銀河における星間媒質の進化(特に分子雲の形成と進化) において,磁場の果たす役割はよくわかっていない。分子雲形成は大局的な星間媒質の進化の中で起こるため,銀河円盤において,星間媒質と磁場がどう相互作用して進化するのかを明らかにする必要がある。そこで本研究では,星間媒質の大局運動に決定的な役割を果たす恒星系渦状腕を考慮した現実的な銀河モデルにおいて,星間媒質の進化(原子ガスから分子雲への進化) における磁場の役割を,分子雲の内部構造を分解した高解像度磁気流体計算により明らかにする。これにより星形成における磁場の役割の解明に向けて,現実的な銀河モデルに基づいた分子雲形成・進化シナリオを提供する。
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研究実績の概要 |
今年度は以下の3つの事項について研究をおこなった。 ・(局所分子雲形成) 素過程(化学反応と光子追跡・熱過程・自己重力)を考慮した3次元磁気流体シミュレーションをおこない,形成される高密度クランプの統計的性質に普遍性があることがわかった。この結果はThe Astrophysical Journalで査読付き論文(Iwasaki & Tomida 2022)として出版された。 ・(恒星多体系ソルバーの開発) 公開コードAthena++にParticle-Mesh法の実装をおこなった。具体的には,粒子質量を格子に内挿し,格子上で重力ポテンシャルを求め,得た重力を粒子位置に内挿する。この手法は格子細分解法を用いた場合に,恒星が自分自身の重力ポテンシャルから力(自己力)を数値的誤差のために受けるという深刻な問題があった。今年度は,自己力を低減するために,格子幅が変わる境界付近での恒星質量の格子への内挿法を改善した。その結果,自己力が5分の1となり,恒星運動のエラーが削減された。 ・(静的渦状腕を考慮した大域銀河円盤シミュレーション) 富岳を用いて大域銀河シミュレーションをおこなった。恒星多体系の重力ソルバーが開発中なので,静的渦状腕を考慮した。富岳の節電などがあり計算が想定通りに進まなかったが,パーセクスケールの分解能での分子雲形成・進化をとらえた大域シミュレーションのテスト計算を実施した。その結果,渦状腕へのガスの集積による分子雲形成や超新星爆発による銀河規模のアウトフロー駆動などの先行的結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度,局所分子雲形成・進化に関する査読付き論文が出版され,恒星多体系ソルバーにおいて非等方な格子配置で発生するエラーが低減できた。さらに今後の研究の推進方策で述べるようにさらなる低減の方策が得られた。富岳におけるテスト計算をおこない,プロダクトランへ進む準備ができた。
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今後の研究の推進方策 |
恒星多体系については,格子上での重力ソルバーにおいて,格子幅が変わる境界における重力ポテンシャルの内挿の空間精度向上で自己力低減をおこなう。自己力を完全にゼロにすることは,離散グリーン関数を求める以外に原理的に不可能なので,可能な限り自己力を低くするような方策を講じつつ,自己力を低く抑えるような格子分割法を精査する方向に進む。富岳における銀河大域円盤シミュレーションについては,2023年度にプロダクトランをおこなう。
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