研究課題
基盤研究(C)
約40億年前には豊富な液体の水を湛え温暖湿潤な気候を有していたとされる火星は、乾燥寒冷な気候に変遷した現在も地下に大量の水が貯蔵されていることが最新結果から明らかになった。生命にとって重要な水・大気は、火星でどのように生成・循環・消失しているのか。これまでの全球的かつ長期平均的な理解では不十分なことが最新の探査結果から明らかになりつつある。本研究では最新の探査機データと地上観測データを比較惑星学的に統合解析することで、宇宙散逸可能な高度までH2O・CO2をどのように効率的かつ高速に輸送するかというこれまでの視点にはなかった新たな学術的問いの解決を目指す
本研究では、超高層への水・物質輸送過程を明らかにすべく、特に大気波動を介した領域間結合に着目して、探査機と地上望遠鏡による観測を実施した。(1)高速放射計算コードの開発を進めた結果、疑似データを用いた検証が終え、火星大気中のダスト・氷雲の密度および粒径の導出に世界で初めて成功した。(2)火星中層大気の掩蔽観測データを用いて、水蒸気の鉛直輸送過程・夜側の温度構造・大気重力波の上方伝搬過程・ダストストーム中の東西風加速を明らかにした。(3)より高高度の大気組成変化を調べた結果、下層大気の季節変化やダストストームに伴う変動が宇宙に散逸しうる超高層大気組成を大きく変化させうることが明らかになった。
火星は兄弟星でありながら全く異なる惑星環境を形成するに至った。多様性に富むこれら地球型惑星の水・大気進化解明は、過去そして現在における生命生存環境の理解に重要である。表層から宇宙まで領域間をつなぐ新たな研究手法を実現したことで、火星における水・大気の新たな消失パスの理解に貢献した。今後加速する火星探査開拓時代へ向けた複合ミッションの長期的な技術要素土台構築へとつながる。
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