研究課題
基盤研究(C)
本研究では、太陽圏境界が果たす重要な2つの役割に注目することで、地球で観測される宇宙線の加速・輸送機構の解明を目指す。1つ目は、宇宙線の外部からの侵入を防ぐ砦としての太陽圏境界の役割である。これには磁気流体計算とテスト粒子計算という2つの数値実験手法を組み合わせて取り組む。2つ目は、宇宙線加速器としての太陽圏境界の役割である。同領域で生成されていることが観測的に確かめられた宇宙線異常成分に注目し、その加速機構を明らかにする。
本研究では、太陽圏境界が果たす重要な2つの役割に注目することで、地球で観測される宇宙線の加速・輸送機構の解明を目指した。1つ目は、宇宙線の外部からの侵入を防ぐ砦としての太陽圏境界の役割である。これには磁気流体計算とテスト粒子計算という2つの数値実験手法を組み合わせて取り組み、広大な太陽圏における宇宙線粒子の挙動を粒子軌道レベルで解き明かすことに初めて成功した。2つ目は、宇宙線加速器としての太陽圏境界の役割である。重要な境界構造のひとつである終端衝撃波で生成されると考えられている宇宙線異常成分に注目した。第一原理のフル粒子計算で終端衝撃波を再現し、そのミクロ構造と粒子加速の関係を明らかにした。
太陽圏境界は米国のボイジャー探査機が今世紀に入って初めて直接探査に成功した。宇宙線の生成や輸送は、生命進化や惑星の気候変動にも重要な役割を果たすと考えられているものの、その詳細はほとんど不明なため、研究の進展への期待が大きい。宇宙線がどのようにして複雑な太陽圏内部を旅して地球にやってくるのか、どのような条件で終端衝撃波での加速機構が発現するのか、本研究では従来のモデルの制限を超えて粒子軌道レベルでの解明に取り組んだ。ボイジャーは広大な太陽圏境界をたった2本の経路上で探査したにすぎないため、本研究のような数値実験によるアプローチが本質的に重要で、ここで得た知見が次世代の探査計画にも生かされる。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 8件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (30件) (うち国際学会 10件、 招待講演 10件) 図書 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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