研究課題/領域番号 |
19K03962
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
久保川 厚 北海道大学, 地球環境科学研究院, 特任教授 (00178039)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 海洋循環 / 東向きジェット / 西岸境界流続流 / 再循環 / 西岸境界流続流再循環システム |
研究開始時の研究の概要 |
海洋上層の大規模な循環(海流)は背景となる鉛直密度成層の下での海面からの風応力と浮力の強制によって決まる考えられる。ここでは、循環構造全体の形成の力学理論(海洋大循環論)の構築を目標に、特に、東向きに流れる西岸境界流続流ジェットに着目する。中緯度の海洋循環は高緯度側の亜寒帯循環と低緯度側の亜熱帯循環からなるが、黒潮のような西岸境界流は循環境界まで行くことなく離岸し、東向きの続流ジェットを形成する。この続流ジェットの緯度とその長さの決定要因、および、ジェットが存在するための外部条件は未だ明らかではなく、ここでの研究対象である。シンプルな理論と数値実験的研究により、それらの問題の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
中緯度上層海洋の循環は主には風により駆動され、偏西風帯の高緯度側には低気圧性の亜寒帯循環、低緯度側には高気圧性の亜熱帯循環と呼ばれる循環が形成される。そして、その海洋の西端にはそれぞれ低緯度向きと高緯度向きの西岸境界流と呼ばれる強い流れが生じる。黒潮は亜熱帯循環の西岸境界流であるが、それは循環境界まで行くことなく離岸し、東向きの続流ジェットを形成する(早期離岸)。早期離岸はシンプルなモデルでも生じるが、この続流ジェットの緯度とその長さの決定要因等は未だ明らかではない。本研究では、シンプルな数値実験と理論的研究により、この問題の理解を目指している。 早期離岸ジェットの緯度と南北プロファイルに関しては、昨年度に投稿した論文の改訂と、それに付随して必要になった計算を行い、論文は掲載された。また、この研究に関連して、当初の目的には入っていないものではあるが、黒潮続流の安定期と不安定期に似た現象をこのモデル内で見つけた。このことは東向きジェットの安定性に関して新しい視点を与える可能性が有る。ジェットの長さを決める力学に関しても進展があり、以下のようなことが明らかになった。西岸域の南北の渦対から伸びる東向きジェット・再循環では平均流移流が重要であるが、それが閉じるところとその裾野域では乱流渦位輸送が重要となる。東向きの背景流を強めていくと再循環は伸びていく。ある程度強くなると乱流渦輸送が下流域での流れを維持するようになる。南下流を加えた場合、南下流領域ではジェットを構成する渦位場が南に移流されるため西から侵入する再循環構造の東向きの伸びが妨げられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
再循環構造の長さに関する研究に関しては、まだ論文にはなっていないが、当初考えた枠組みで出来ることはほぼ終了した。また、本科研費の中心課題である早期離岸ジェットの緯度と南北構造に関しては話はほぼ完結し、論文も掲載された。さらには、当初考えていなかった新しい発見もあった。それらを総合すると、概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
西岸で渦対型の強制を与えた時の再循環構造の東への侵入の部分を論文にするのが、第一の仕事である。また、東向きジェットの蛇行の仕方に関しては、不安定論の基礎から説明できるかどうか、理論的な研究を進める。
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