研究課題/領域番号 |
19K03965
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 国立極地研究所 (2022) 東京大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
丹羽 淑博 国立極地研究所, 国際北極環境研究センター, 特任研究員 (40345260)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 津波 / GPS / 船舶観測 / 航空機観測 / 海面高度観測 / 気象津波 / GNSS / 船舶GPS |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、新たな津波の観測方法として、船舶設置GPSによって津波に伴う海面高度の変動を捉えることを試みる。特に、発生頻度が低い地震津波の代わりに、九州西岸で冬季から春季に毎年発生する気圧変動に起因する気象津波(あびき)に着目し、九州西岸沖合を航行する民間定期フェリーに高精度GPSを設置して長期連続観測を行う。さらに数値実験を行い、世界各地の津波常襲国の沖合を航行する多数の民間船舶で津波が観測できた場合、地震津波の予測精度がどの程度向上しうるのか調べる。
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研究実績の概要 |
本研究は、全世界的に多数点展開しうる新たな津波の観測方法として、沖合を航行する船舶に高精度GPSを設置し、津波に伴う海面高度変動を捉えることを試みるものである。そのために、九州西岸を航行する民間定期フェリーを利用して気象津波の長期観測を実施する予定であったが、2022年度も新型コロナウィルスの影響でフェリーを観測を中止せざるを得なくなった。 そこで、本年度は船舶と並んでグローバルな交通・輸送網を形成する航空機に着目し、海洋上を航行する多数の民間航空機を津波観測プラットフォームとして利用する方法について検証を行った。航空機レーダーによる海面高度測定については、本報告者も関わった先行研究[Hirobe et al., 2019]によりその有効性が確かめられている。そこで、南海トラフ周辺を通過する現実の複数の民間航空機の軌道上において津波波高データが得られたと仮定し、そのデータを用いたインバージョン解析によって、どの程度正確な津波予測できるかを数値実験を行い検証した。その結果、現在運用されているケーブル型海底圧力計網DONETによる津波予測には15分程度の観測時間が必要であるのに対し、航空機観測の場合、南海トラフ周辺海域には8時から21時に30機以上の航空機が存在し、その時間帯ではDONETの半分(7分30秒)の観測時間で十分な精度で津波予測ができることがわかった。しかしながら、深夜12時以降は航空機が10機以下に減るため、精度よい津波予測ができないことが示された。このことから、航空機による津波観測システムの構築には、深夜帯に無人航空機を効率的に併用する方法を検討する必要があることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究進捗状況が遅れている理由は、前年度に引き続き、新型コロナウィルス感染拡大の影響で冬季に予定していた九州西岸の民間定期フェリー(九州商船株式会社)を利用した気象津波の長期連続観測を中止せざる得なくなったためである。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の船舶GPS観測については、フェリー会社と協議してその実施を検討する。もし実施が難しい場合は、昨年度、一昨年度に岩手県大槌湾において実施した船舶GPS観測のより詳細なデータ解析を実施する。また、船舶GPS観測の民間船舶への多数展開の可能性について検討を行う。
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