研究課題/領域番号 |
19K03971
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
松本 潔 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60373049)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | アミン / エアロゾル / 森林 / 新粒子生成 / 発生源 |
研究開始時の研究の概要 |
地球気候を左右するエアロゾル個数濃度は、気体分子からの新粒子生成反応により増加する。近年、新粒子を安定的に生成する重要な化学種としてアミンが注目されている。では、アミンの大気圏への発生源は何か? 全球的な気候を考える上では海洋上や森林域などの清浄大気における発生源が重要だが、その理解は不十分である。特に森林から発生するアミンに関する研究例は極めて少ない。本研究では、森林フィールドにおいてエアロゾル及びガス相中アミンの高精度な分離・捕集を行ない、アミンと関連物質を定量する。そのデータを基に、森林から大気圏へのアミンの発生量と発生プロセスを解明し、森林由来アミンの新粒子生成への関与を検証する。
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研究成果の概要 |
本研究では、富士山北麓の森林フィールドにおいてエアロゾル及びガス相中アミンの同時観測を行ない、その濃度の季節変動パターンと森林からのアミン発生の可能性について検証した。メチルアミンやジメチルアミンなど複数種のアミンについて、その微小粒子中の濃度は暖候期に増加する季節変動が得られ、ガス相中濃度と高い正の相関関係を示した。ガス相中アミン濃度とNH3ガス濃度や気温との間には正の相関関係が認められたことから、気温の高い季節に土壌からのアミンの揮発が促され、これが酸性成分との反応を経て粒子化したことが考察された。これらの結果から、森林土壌からのアミン放出とこれによるエアロゾルの生成・成長が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
エアロゾル個数濃度の増減は、太陽光散乱の程度を左右するなど、地球気候に大きな影響を及ぼす。気体分子からエアロゾルが生成される新粒子生成反応は、エアロゾル個数濃度を増やす最も重要な経路である。近年この反応を促進する物質としてアミンが注目されているが、大気中アミンに関する観測例は少なく、その濃度レベルや発生源の理解は乏しい。本研究において、森林土壌からアミンが発生しエアロゾルの生成や成長を促していることが示唆された。このことは、地球陸地面積のおよそ3割を占める森林から発生するアミンが、地球大気のエアロゾル個数濃度のバックグランド値を決定し、地球の気候とその変動に影響を及ぼしている可能性を示唆する。
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