研究課題/領域番号 |
19K03974
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
秋友 和典 京都大学, 理学研究科, 名誉教授 (10222530)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 地球規模海洋循環 / 非線形状態方程式 / 水温の南北非対称分布 / 南極周極流 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の研究によれば、状態方程式の非線形性に起因する大規模な水塊変質(沈み込み)が南極大陸を取り巻く海域で生じていると見られ、底・深層水形成との関わりが注目されている。本研究は、この沈み込みに対して北大西洋と南極海域の間に見られる水温の南北非対称分布が主たる役割を果たすことを理想化数値モデル実験によって示すことである。さらに、この沈み込みの特性が両海域間の水温差に依存してどのように変化するのか、地球規模での底・深層水形成やその循環・分布をどのように特徴づけているのか、また過去から未来にわたる地球気候の変動・変遷とどのような関わりを持ち得るのかを明らかにする。
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研究成果の概要 |
理想化した数値モデル実験により、大西洋の南北両極域の間に見られる表層水温(塩分)の違い(非対称性)が海水の状態方程式の非線形性を通して、南極大陸周辺での海水の沈み込みを強化している可能性を示した。北大西洋で深層に沈んだ北大西洋深層水が南極大陸周辺で表層に湧昇し、水温の異なる周囲の海水と混合すると、できた海水は状態方程式の非線形性によってもとの海水より重くなり南極底層水として海底に沈む。太平洋を含む二海盆モデルでの実験から、この過程が地球規模の海洋循環の構造と変動を決める要因の一つとなる可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
地球規模の海洋循環の形成と変動に大西洋における水温(塩分)の南北非対称性が重要な役割を果たしている可能性が本研究により初めて示された。この過程には大気圧下での真水が約4℃で最も重くなるのと同じ分子レベルでの性質(状態方程式の非線形性)が本質的な役割を果たしており、ミクロスケールから地球規模に至る海洋循環の新たな側面が明らかになった。得られた成果は現在の地球気候に限らず、地質データに見られる過去の気候の理解、地球温暖化に起因する将来の予測に大きく寄与することが期待される。
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