研究課題
基盤研究(C)
本研究では、大気の二酸化炭素(CO2)濃度観測データから、大気と陸域・海洋間のCO2フラックスを定量的に推定する逆解析という手法を用いることにより、地球表層における炭素循環メカニズムの理解深化を図る。逆解析では、高解像度のフラックス推定が可能な4次元変分法(4D-Var)を用いる。長期の解析期間には様々な時間スケールのフラックス変動が存在するが、それぞれのスケールを同時に最適に推定する手法はまだ確立されていない。そのため、本研究では様々なスケールを同時に最適化できる逆解析システムの開発を試みる。
4次元変分法によるCO2逆解析システムをもとにして、地表面フラックスの短期(数時間)から長期(数年)のスケールまで幅広くカバーすることのできるマルチスケール最適化手法の開発を行った。様々な時間スケールのフラックスを同時に解くための手法開発を行い、システムに実装することで、30年といった長期間の解析においても光合成や呼吸といった日変化のあるグロスフラックスを解析対象とすることが可能となり、炭素循環メカニズムの理解深化に繋がる逆解析が可能となった。
地球表層における炭素循環メカニズムには未だ解明すべき点が多く残されており、温暖化予測に大きな不確定性が生じている。大気濃度からCO2の地表面フラックスを推定する「逆解析」は有力な手法の一つであるが、その逆解析について本研究では、様々なスケールのフラックスを適切に最適化するための手法開発をするなどの開発研究を行い、その結果、フラックス推定の精度向上が向上した。これにより、炭素循環メカニズムの理解が促進し、温暖化予測の不確定性低減に繋がると期待される。
すべて 2023 2022 2021 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件)
Progress in Earth and Planetary Science
巻: 9 号: 1 ページ: 42-42
10.1186/s40645-022-00502-6
Atmospheric Chemistry and Physics
巻: 21 号: 12 ページ: 9455-9473
10.5194/acp-21-9455-2021
Quarterly Journal of the Royal Meteorological Society
巻: 146 号: 732 ページ: 3118-3143
10.1002/qj.3838