研究課題/領域番号 |
19K04026
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
上木 賢太 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), 副主任研究員 (40646353)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | マグマ化学組成 / データ駆動 / 火成活動 / 物質循環 / 機械学習 / マグマ生成 / データ解析 / 数値モデル / 多変量解析 / 情報科学的解析 |
研究開始時の研究の概要 |
マグマ組成を用いて地球内部の物理化学条件を理解する研究は広く行われており、噴火準備過程やマグマ生成プロセス、マントル構造などの理解に貢献している。一方、これらの研究は、端成分や生成温度圧力、起源物質等「点の情報」に着目したものがほとんどであり、我々は、マグマ組成の多様性そのものを理解し切ってはいない。組成の多様性の本質の理解や、多様性をもたらすプロセスの理解はまだ発展途上である。この問題を理解する手段として、「天然マグマ化学組成バリエーションの理解」「実験マグマ化学組成バリエーションの理解と実験結果を統合・予測する数値モデル構築」の2点を、統計数理的手法に基づいた手法に基づいて進める。
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研究実績の概要 |
機械学習及び数理解析に基づいたデータ解析により、高次元データであるマグマの化学組成のバリエーションをデータ駆動で定量的および客観的に解析する方法を確立し、天然火山岩化学組成データおよび高圧実験に基づくマグマ化学組成データに適用して、地球内部でのマグマ進化プロセスやその時空推移を捉えることが本研究の目的である。その目的達成のために具体的テーマとして設定した課題1から3に基づき、2023年度の研究を遂行した。「課題1: 統計数理に基づいた天然マグマ化学組成バリエーションの特徴抽出手法の確立」に関しては、火山岩化学組成の高精度分析を行い、分析で得られた高次元データに対して数理解析を行ってマグマ進化プロセスを抽出する研究を行った。また、火山噴出物の化学組成データを収集し、データベースを構築してウェブ上で公表した(姶良カルデラデータベース)。「課題2: 統計数理に基づいた実験マグマ化学組成バリエーション解析手法の確立」に関しては、2022年度から継続して、マグマ生成場の条件を推定する数理モデルの開発を行った。「課題3: マグマ生成プロセスの時空間推移解析」に関しては、全地球火山岩の数理解析を行って、マグマの化学組成から起源テクトニクスを推定する数理モデルを構築し、論文および簡便に解析を行うためのスプレッドシートを公開した(Ueki et al., 2024)。また、マグマ組成への応用を見据えて、様々な地球科学データ解析研究に参画した(Enomoto et al., 2023; Nakao et al., 2023など)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題1に関しては、火山噴出物に対して新規の化学組成分析を行った。また、東伊豆単成火山群や鬼界カルデラなど複数の火山噴出物の化学組成データに多変量解析を行い、マグマ化学組成の進化をもたらすプロセスを抽出して地球化学的議論を行った。また、2022年度までの成果を拡張する形で火山噴出物化学組成データベース構築を行い「姶良カルデラデータベース」としてウェブ上で公開した。課題2に関しては、2022年度までに行った予備データセット構築と予備解析に基づいて、岩石溶融実験結果をコンパイルした本解析用データセットを構築し、データ解析を行って、マグマ化学組成から溶融場条件を推定するモデルを構築した。課題3に関しては、2022年度までの解析結果を基礎として、簡便に火山岩化学組成を基づいたマグマ起源テクトニクスの解析を行うことを可能とする数理モデルを構築し、論文として公表した(Ueki et al., 2024)。また、数理モデルを簡便に利用出来るスプレッドシートを公表した(SGTPPR)。さらに、マグマ組成解析への応用を見据えて、化学組成データ解析手法開発、地球物理観測データ解析といったデータ解析共同研究を行った(Enomoto et al., 2023; Nakao et al., 2023など)。
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今後の研究の推進方策 |
課題1については、2023年度までの解析結果を基に地球科学・火山学的議論を進め、東伊豆単成火山や鬼界カルデラ、姶良カルデラ等の日本周辺火山に関するマグマ生成及び進化プロセスを議論する。また、火山噴出物データベース構築と、データベースを用いた解析を継続する。課題2については、マグマ化学組成から総合的な溶融場の情報を抽出するモデルを完成させる。課題3に関しては、課題2で構築するモデルを全地球火山岩の実データに適用し、全球規模でのマグマ化学組成や生成プロセスを議論する。成果については、論文、学会で公表すると共に、ウェブサイトに掲載する一般向けコラム等で解説を行う。
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