研究課題/領域番号 |
19K04033
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 東京学芸大学 (2023) 国立研究開発法人海洋研究開発機構 (2021-2022) 東京大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
橋間 昭徳 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (90600461)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 日本海溝 / 有限要素モデル / クーロン破壊関数 / 震源断層 / すべり速度欠損 / インバージョン / 関東地方 / 2024年能登半島地震 / 東北日本 / 2019年山形沖地震 / 千島海溝 / 北海道 / 2021年福島沖地震 / 測地データ / 内陸地震 / 応力蓄積 / 有限要素法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、北海道下の震源断層における応力蓄積プロセスを定量的にモデル化することにより、内陸地震の発生可能性の評価法の確立を目指す。そのために、以下の3項目からなる研究を行う。(1) 北海道下の粘弾性構造を考慮できる有限要素モデルの構築、(2) GPSデータのインバージョン解析により、千島海溝の固着分布と地下の粘弾性構造を制約、(3) 得られた固着分布・粘弾性構造を用い、震源断層上のクーロン破壊関数を計算する。この計算結果を実際の地震活動と比較し、検証する。
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研究実績の概要 |
本年度は、千島-日本海溝のプレート境界過程の関東地方への影響についての解析結果をまとめた。関連して、2024年1月1日に発生したM7.6能登半島地震についての解析も行った。また、昨年度行ったトルコ・ギリシャについて本研究手法を応用し、同地域の地殻変動場のメカニズムの推定については、学会発表および論文執筆を行った。詳細を以下に述べる。 (1)昨年に引き続き、2011年東北沖地震前後の影響について、2011年より前については日本-千島海溝のすべり速度欠損(固着)分布を、2011年以降については東北沖地震のすべり分布を有限要素モデルに入力して、関東地方の震源断層上におけるクーロン破壊関数(ΔCFF)を求めた。これらの結果については、「第2次災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」令和5年度地震(長期予測)部会で発表し、報告書を提出した。現在、論文を執筆中である。 (2)2024年M7.6能登半島地震の発生メカニズムの解明のため、(1)と同じモデルを用いて南海トラフの固着と東北沖地震前後の能登半島地域における断層へのΔCFFを見積もった。南海トラフの固着や東北沖地震発生時およびそれ以降の影響については、能登半島地域の断層のΔCFFは負となり、能登半島地震の発生を抑制する。東北沖地震前の千島-日本海溝の固着についてはΔCFFは正となり能登半島地震の発生には親和的ではあるが、時間的には合わない。能登半島地域は南海トラフや日本海溝から遠く離れており、また、上記の計算では相模トラフや伊豆半島の衝突の影響は考慮されていない。今後、これらの影響を合わせて総合的に検討する必要がある。これらの結果については、「第2次災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」令和5年度地震(長期予測)部会で発表し、報告書を提出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、三年間の研究期間で、東北日本-千島・日本海溝系についてa) 有限要素モデル(FEM)の構築、b) 測地データインバージョン、c) 応力計算の3項目を行うこととしている。研究を効率的に進めるために、申請者の過去研究を適宜参照しながら行う。 a)のFEM構築は初年度にほぼ終了した。 b)については、国土地理院GEONETのGNSSデータを使用した。千島-日本海溝の統一的なインバージョンによってすべり速度欠損分布については昨年度にほぼ終了した。同様の手法をトルコ・ギリシャの地殻変動解析に適用することでヘレニック沈み込み帯のすべり分布を得た。 c)については得られたすべり速度欠損分布をFEMに入力し、関東地方の応力分布を求め、この地域の震源断層面にかかるクーロン破壊関数も求めた。また、2024年M7.6能登半島地震の発生メカニズムを解明するため周囲のプレート境界過程による応力計算を行ったが、これについては相模トラフや伊豆半島の衝突についてさらなる検討を要する。 以上により、a-b)についてはほぼ終了した。2024年度はこれらを用いて、c)の内部構造と震源断層の活動性の関係を検討していくことになる。以上で行った研究の成果については、IUGG2023などの学会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに整備したシミュレーションモデルとインバージョンプログラムのもと、今後は具体的に北海道-東北日本の地殻変動データを用いて研究を進めていく。関連して、トルコ・ギリシャの地殻変動解析も進める。 まず、北海道―東北日本においては、巨大地震の発生が危惧されている根室沖について、2011年東北沖地震の影響を調べるため応力計算を行う。これらの結果を論文にまとめ投稿する。また、北海道の陸域の震源断層の形状から断層面上の応力ベクトルを計算し、さらに断層破壊に対する応力の影響を評価するクーロン破壊関数(ΔCFF)を求める。近年提唱されたΔEFS(Energetic-based failure stress)による地震活動予測の有効性についても検討する。 ギリシャ・トルコの地殻変動に関しては、本年度得られた結果に基づき論文にまとめる。 以上で行う研究の成果をJpGU2024、日本地震学会2024年度大会で発表予定である。
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