研究課題/領域番号 |
19K04039
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
廣野 哲朗 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (70371713)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 南海トラフ地震 / 動力学 / 断層 / 動力学解析 / プレート境界断層 / 断層ガウジ / 摩擦実験 |
研究開始時の研究の概要 |
プレート境界断層の海溝付近での大規模滑りの発生メカニズム解明とその定量的評価を目的とし,南海トラフ地震発生帯掘削で採取された断層試料の鉱物組成・各種物性を計測,地震時における断層での摩擦発熱-熱拡散方程式とエネルギー保存則および反応速度式等を連立させた断層滑り弱化の数値解析と動力学破壊伝播シミュレーションを実施し,来たる南海トラフ地震で起こりえる海溝付近の断層滑りの時空間発展の定量的評価を行う.さらに,断層の物性情報が,断層滑り弱化と最終滑り量に与える影響を精査し,断層物質科学と破壊伝播過程の普遍的な関連性の解明を目指す.
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研究成果の概要 |
本研究では、東南海地域の南海トラフのプレート境界断層および巨大分岐断層の物質科学的特徴を明らかにし、動力学破壊伝播シミュレーションによる地震時の破壊伝播過程の時空間変化について調べた。摩擦係数が001-0.06のとき、海溝底付近で約30 mの滑りが発生、一方で摩擦係数が0.21の場合、震源からの滑りは抑制され、海溝底付近での滑りはほぼ0であった。但し、断層の間隙水圧が地震前にほぼ静岩圧に等しい場合、摩擦係数が0.21であっても、海溝底付近では約25 mの滑りが生じうることが明らかになった。よって、海溝底付近の滑り量は、断層の摩擦係数のみならず初期の間隙水圧の状態に大きく依存すると言える。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
来たる南海トラフ地震での破壊伝播過程の事前把握のため、地震時における海溝底付近のプレート境界断層の滑り量の定量的評価が重要である。統合国際深海掘削計画で採取された断層試料の分析と実測値を用いた動力学シミュレーションの結果、海溝付近の滑り量は断層の摩擦係数と初期の間隙水圧の状態に依存し、かつ、それらの僅かな差によって大きく変化することが明らかになった。これは、南海トラフ全体の地震時の滑り量の事前評価には、海溝に並行な方向での断層の物質科学特徴の評価が不可欠であることを示唆する。
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