研究課題
基盤研究(C)
プレートテクトニクスの開始時期についてはよく分かっていない。これは、岩石形成年代が古ければ古いほど、後の時代の変成・変質などの影響により形成情報の書き換えが起こり、形成初期の情報が消失してしまうからである。しかし、そういった情報は後の影響を免れやすい岩石中の微小・微量鉱物のなかに残されている可能性がある。そこで地球上で最も古い時代の岩石を産する太古代地質体に注目し、最新の分析技術をその中に含まれる微小・微量鉱物に適用することで、形成プロセスに関わる初期情報を引き出す。そして、得られた結果から太古代の変成作用やテクトニクスを議論することで、地球におけるプレートテクトニクス開始時期を検証する。
本研究では、変成岩や火成岩に含まれるジルコンやアパタイトやチタナイト、さらには白雲母といった微小・微量鉱物の年代測定や定量分析などの測定条件を検証し、得られた条件を南アフリカに産するバーバートン花崗岩―緑色岩帯(BGGT)に適用した。その結果、BGGTで起きた造構運動下では海洋台地(海山)の沈み込みと流体による融解プロセスがマグマ生成の主要な役割を果たし、また表層岩石をエクロジャイト相の深部まで沈み込ませる比較的低い地温勾配であったことが示された。これらのことから、少なくともBGGTは、表層地殻が側方運動するようなテクトニクスによって形成された可能性が高いことが示唆された。
本研究で取り組んだ研究課題は、地球史におけるプレートテクトニクスの開始時期特定や、現在の地球では生成しないTTG花崗岩の成因解明など、岩石記録が少ない地質時代の未解決問題と密接な関わりがある。本研究の学術的意義は、そういった未解決問題の糸口を掴むために太古代岩石の微小・微量鉱物に注目し、測定機器を駆使して、当時の造構運動の痕跡を読み取ったことと言える。また、社会的意義の面では、本研究は経済的な実利性はないが、教育現場や教養のための新しい「知」としての役割を持っているため、この新しい「知」とともにまだ「未解決」な部分を合わせて説明することで、学校教育が掲げる「探究的な学び」につながると考える。
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