研究課題/領域番号 |
19K04048
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
松井 洋平 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋生物環境影響研究センター), 准研究副主任 (90756199)
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研究分担者 |
藤崎 渉 筑波大学, 生命環境系, 助教 (80815192)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 硫黄 / コバルト / 二酸化硫黄 / 三酸化硫黄 / 銅 / バナジウム / 硫化物 / 元素分析 / バナジン酸銀 / 硫酸塩 / 有機物 / 軽元素同位体比 |
研究開始時の研究の概要 |
海底や河床の堆積物中の有機物の元素組成・安定同位体比組成を調べることにより、その堆積物ができた当時の環境や、堆積物の続成過程を推定するための重要な情報を得ることができます。そのため堆積物試料の軽元素分析は多くの研究室で盛んにおこなわれています。しかし、堆積物試料の中には、硫化物や硫酸塩を多量に含むものがあり、分析時に妨害成分が発生するため、正確で再現性のある分析を安定的に行うことが困難です。この困難を克服し有益な分析値を得るため、硫黄除去能のある試薬を合成し、既存の元素分析機器に組み込むことにより、硫黄を大量に含む化合物の軽元素の元素分析・安定同位体分析を可能にすることを目指しています。
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研究実績の概要 |
反応炉内での熱分布と反応再現性を詳細に調べるために、脱硫管を配置した電気炉の設定温度を400℃~800℃まで段階的に昇温し、反応性の良い極細の熱電対を用いて反応管内部の温度計測を2cm刻みで実施しました。設定温度は炉の両端から約5cm程度において達成され、反応炉①では、炉内の中央付近では設定温度よりも約100℃高温になり、その温度分布は弓なりの形状となることが分かりました。また、反応炉②では、炉内の中央付近での実測温度が、設定温度よりも約10℃高温になり、その温度分布は中央付近が平坦な台形の形状であることがわかりました。メーカー推奨のコバルト試薬の至適温度は約550℃なので、炉の中央付近で至適温度に達するように炉の設定温度を調整し脱硫実験を行ったところ、脱硫能力が十分に発揮されないことが分かりました。また、それぞれの炉によって温度の読み値と実温度が異なることから、散発的な炉内の実温度計測による温度の確認が重要であることがわかりました。反応炉内の試薬の分布と実温度の再検討を行い、また文献調査により、脱硫能力はメーカーの推奨温度よりも高く設定した方が良化することもあると分かってきたので、高温側での実験を準備しています。また高温側での炉内温度設定により、炉内に新たに生まれる中温域と低温域における効率的な分析手法の検討を行い、酸化銅とバナジウムによる低温・中温域での反応系を考案しました。また、開発中の分析法の知見を活かし、実試料(標準試料、岩石試料、および温泉・生物試料)に適用し、CNSデータを取得しました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヘリウムガスの世界的な供給不足のため、元素分析および質量分析がやや遅れています。また、国際情勢のためにドイツ製のPLC・真空ポンプおよび、米国製のバルブの納期が長期になっていることから現在までの進捗状況がやや遅れています。調査の結果、ヘリウムの供給不足の多少の解消、および使用可能な代替の製品を手に入れる目処が立ったため、実験の再開が可能と判断します。
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今後の研究の推進方策 |
高温分析での脱硫効率の検討するために、複数温度設定での負荷試験を行います。また、同時に高温状態での試薬の劣化や、分析上の不具合の検証も行う予定です。負荷試験によって確かめた最適温度条件と炉内試薬配置において再現性実験を行い、標準試料での検証の後に天然試料への分析手法の応用を行い、本課題のまとめを行う予定です。
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