研究課題/領域番号 |
19K04058
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
高島 千鶴 佐賀大学, 教育学部, 准教授 (10568348)
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研究分担者 |
狩野 彰宏 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (60231263)
奥村 知世 高知大学, 海洋コア総合研究センター, 准教授 (90750000)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | シリカ / 縞状組織 / 遺伝子解析 / 塩 / 季節変化 / シリカ堆積物 / 温泉 |
研究開始時の研究の概要 |
先カンブリア時代の地球環境の記録媒体として,縞状鉄鉱層やストロマトライトは重要であるが,地質試料を対象とした研究からは,縞状組織の成因や周期性,微生物群集の構成の特定が進んでいない.本研究は縞状鉄鉱層やストロマトライトのシリカ質な部分に微生物や初生的な微細構造が良く保存されることに着目し,そのモダンアナログとして温泉成シリカ堆積物に焦点をあてる.調査地で2年間にわたる長期観測を実施し,堆積速度・水質変化・微生物群集から異なるスケールの縞状組織の周期および生成過程を明らかにする.さらに本研究は,極限微生物群集について新たな知見や,先カンブリア時代の自転・公転周期への制約が与えられると期待できる.
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研究実績の概要 |
本研究は先カンブリア時代の堆積岩のモダンアナログである温泉成シリカ堆積物に発達する縞状組織の生成過程や周期を明らかにすることを目的としている.これまでの研究により,鹿児島県指宿市たまて箱温泉に堆積するシリカ温泉堆積物の縞状組織は,夏に形成される有色層と夏以外の季節に形成される白色層で構成され,フィラメント状の微生物がシリカ沈澱に影響していることが明らかになっている. そこで,今年度は微生物の特定のために遺伝子解析を行なった.先行研究によりシリカ沈殿にはシアノバクテリアが関与が指摘されてことや海水起源の温泉水を考慮すると,シアノバクテリアや好塩菌が検出されることが推測される.しかし,シリカによって微生物が被覆されており遺伝子の抽出が困難なため,まだ微生物の特定には至っていない.今後も引き続き遺伝子解析を行う予定である.これまでのタイルの堆積速度実験で縞状組織の周期を見積もることができたが,確認のため堆積速度実験を継続をしていた.しかし想定以上に湯量が増加し,それに伴いシリカ沈殿も増加したため,タイルが埋没していた.そのため,湯量,流路,堆積物の地形を考慮して,検証のためにタイルを再設置し堆積速度実験を継続した.さらに今年度はこれまでのデータの見直しも行った.XRDの結果から有色層にはナトリウムやカリウムも含まれ,電子顕微鏡観察により有色層に塩の結晶も確認された.おそらく,流路において蒸発した際に析出したものと考えられる.このことも有色層が夏に形成されることを支持する結果である. また共同研究者である奥村准教授と狩野教授他と共著で,シリカ堆積物と同様に先カンブリア時代の堆積岩のモダンアナログである温泉成炭酸塩堆積物について論文を発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感染症流行のために現地調査が滞り,本年度予定していた遺伝子解析の結果が出なかったため.
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今後の研究の推進方策 |
来年度はシリカ堆積物中の微生物群衆を遺伝子解析により特定を行い,微生物代謝とシリカ沈殿の関連性を明らかにする.また,これまでのデータを見直し,シリカ堆積物に見られる縞状組織の成因と周期について,総合的にまとめる.その後,先カンブリア時代の堆積岩との比較を行う予定である.
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