研究課題/領域番号 |
19K04064
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 一般財団法人沖縄美ら島財団(総合研究センター) |
研究代表者 |
冨田 武照 一般財団法人沖縄美ら島財団(総合研究センター), 総合研究センター 動物研究室, 主任研究員 (90774399)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 授乳 / 子宮ミルク / 板鰓類 / 炭酸カルシウム / 胎仔便 / 進化 / 腸内便 / 腸内細菌叢 / 方解石 / 細菌叢 / 無機結晶 / 糞 / 胎生 / 結晶 |
研究開始時の研究の概要 |
「授乳」は哺乳類だけの特徴ではなく、サメ・エイ類にも見られることが近年明らかになってきた。しかし、この「授乳」の進化過程については多くが未解明である。 原始的脊椎動物における授乳の進化を解明するうえで障壁となるのが、ミルクが化石証拠として残らないことである。そこで申請者は、現生サメ・エイ類のミルクを飲んだ胎仔が大量の糞を腸内に溜めること、その糞には大量の結晶が含まれていることに着目し、授乳の証拠が化石から認識できる可能性を追求する。 本研究は、まず申請者が発見したサメ・エイ類の胎仔が糞を溜める現象を現生種から理解し、その結果を化石種に適用することで最古の授乳の証拠をつかむことを目標とする。
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研究成果の概要 |
板鰓類の子宮ミルクは、脊椎動物で最古の授乳システムである可能性があるが、その進化は十分に解明されていない。本研究では、子宮ミルクを分泌することが疑われているアカエイ類とネズミザメ類を調査した結果、彼らが出生前まで腸内に大量の糞を溜め込むことが明らかとなった。さらに、この糞は炭酸カルシウムの結晶を大量に含んでいることが明らかとなった。この炭酸カルシウムの結晶は、胎仔の腸内がアルカリ性に保たれている可能性を示唆する。これは、胃がまだ機能しておらず、胎仔の腸内細菌叢が親と異なることによって説明できる。腸内結晶は、地層中で長期的に保存されることから、授乳の進化を解明する直接証拠になりうる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、一般的に化石証拠として残りにくいと考えられる脊椎動物の授乳システムについて、初めて化石証拠として残りうる可能性を示した点で重要である。さらに、本研究を通して、未だ不明なことが多い板鰓類の子宮ミルクについて、ミルク分泌を行う子宮とミルク摂取を行う胎仔の両面から研究を行い、そのメカニズムの一部が解明されたことに意義があると考えられる。
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