研究課題/領域番号 |
19K04193
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
中井 唱 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (80452548)
|
研究分担者 |
後藤 知伸 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (00260654)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 細菌 / べん毛 / 遊泳 / 方向転換 / 走化性 / ランダムウォーク / マイクロ流体 / 誘引物質 |
研究開始時の研究の概要 |
細菌は螺旋型のべん毛をスクリューのように回転させて泳ぎ、密集時は流体力学相互作用により遊泳方向の揃った集団運動が起きる。また細菌は好ましい化学物質を検知し遊泳方向を変えることで、より高濃度の領域に集まる性質(走化性)を持つ。自然界に見られるバイオフィルムの形成過程では、走化性により集積した細菌が集団運動を行うと考えられ、本研究では集団運動と走化性が結合した現象について調査を行う。これまでの知見(化学物質濃度と方向転換頻度・集団運動の時空間構造)を基に、 ①細菌個々の遊泳運動の詳細を観察し、走化性を表す数理モデルを再構築 ②細菌の密集状態における、①の走化性モデルの適用可能範囲を調査 を実施する。
|
研究成果の概要 |
細菌の誘引物質への集積現象を正確に予測するため、誘引物質の濃度勾配存在下において、細菌単体の遊泳運動を計測した。A) 周毛性細菌であるサルモネラ菌の方向転換角度は、誘引物質に近づく場合の方が遠ざかる場合に比べて小さくなることが分かった。バイアス付きランダムウォークモデルによる解析を行い、この方向転換角度の違いが集積現象に大きく影響することを明らかにした。B) ピエゾ素子を用いて対物レンズを高速スキャンすることで、細菌の遊泳軌跡の3次元計測を行い、方向転換角度や遊泳速度を精密に計測した。C) 単毛性細菌と周毛性細菌の遊泳様式の違いによる誘引物質への集積度合の差異を明らかにした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学術的意義:誘引物質に応答する細菌の遊泳方向転換角度変化については、これまでに予測されていたが、実際に観測したのは本研究が初めてである。またこの変化が集積現象に大きく影響することから、国内外の細菌走化性の研究における大きな進歩であると言える。 社会的意義:細菌や誘引物質の種類による集積度合の差異が定量化できることで、混合された細菌群から目的の細菌を分離するなど、細菌群をコントロールする実用化への道が開ける。また自然界に見られるバイオフィルムの理解にもつながると言える。
|