研究課題/領域番号 |
19K04251
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
中川 久司 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (90392638)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 熱交換器 / Kapitza抵抗 / 希釈冷凍機 / ポリイミド微粒子 / ポリグリコール酸生分解性プラスチック / 銀微粒子 / 多孔質体 / 高温圧縮法 / 微粒子 / ポリイミド / 銀焼結体 / 熱スイッチ / カピッツァ熱界面抵抗 / 粉末 / 熱輸送現象 / 超低温 |
研究開始時の研究の概要 |
銀粉末焼結体熱交換器を持つ到達最低温度4 mKの希釈冷凍機の開発や、さまざまな粒径の銀粉末から作成した焼結体のガス吸着・熱伝導特性評価実験を行い、銀粉末焼結体の熱交換効率の増強には限界があることがわかった。本研究の目的は、熱可塑性プラスチック粉末とそれとは異なるプラスチック材との混合体を多孔質化し、それに熱交換経路を作成することで、銀粉末焼結体の限界を打破する高い熱交換効率を持つプラスチック多孔質体熱交換器を開発することにある。またこの多孔質体の熱界面抵抗測定やこの熱交換器をヘリウム3融解圧温度計に実装することで、プラスチック多孔質体と液体ヘリウム間の熱輸送現象を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、ポリイミド(PI)とポリグリコール酸生分解性プラスチックフィラメント(PGAF)とのPI混合体を用いて超低温冷却を高効率化する熱交換器の創出と多孔質体と超流動ヘリウム4とのKapitza熱輸送メカニズムの解明である。これらは、超伝導回路量子コンピュータに不可欠な希釈冷凍機の高性能化に資する。PI混合体の焼結体からPGAFのみを除去し熱交換経路の作成に成功した。50 mKから0.7 Kにおいて、銀焼結体と超流動ヘリウム4間のKapitza抵抗を調べた。表面が粗い多孔質体にもかかわらず、異常Kapitza抵抗は観測されず、抵抗は温度のべき乗の温度依存性を示す新奇な結果を得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
超伝導回路量子コンピュータには、希釈冷凍機が生成する10 mKの超低温度が不可欠である。表面積の大きな銀焼結体熱交換器は、極低温下において大きな温度差を生むKapitza抵抗を低減し、希釈冷凍機性能を左右するキーデバイスである。本研究では、Kapitza抵抗と熱容量が小さいPIとPGAFを混合したPI混合体の焼結体を用いることで、従来の熱交換器性能を超えるPI多孔質体熱交換器(Piphex)の創出を目指した。量子ビットの大集積化に伴う熱負荷の増大に耐えうる大きな冷凍能力をもつ希釈冷凍機の開発は重要課題である。本研究の成果は、超低温冷却を高効率化し、量子コンピュータの発展に資すると期待される。
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