研究課題/領域番号 |
19K04259
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
大浦 靖典 滋賀県立大学, 工学部, 准教授 (60512770)
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研究分担者 |
田中 昂 滋賀県立大学, 工学部, 講師 (60759273)
栗田 裕 大阪産業大学, 工学部, 教授 (70275171)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 面内鳴き / ディスクブレーキ / 固有振動 / 自励振動 / 鳴き対策 / 連成振動 |
研究開始時の研究の概要 |
ディスクブレーキの面内鳴きの発生メカニズムを解明し,面外鳴きと面内鳴きの両方を理論的に抑制する方法を提案する.まず,面外鳴きと面内鳴きの発生に必要な要素のみで構成した鳴き試験機を作成し,鳴きの発生条件を明確にする.次に,低自由度の解析モデルを用いて,面内鳴きが発生するメカニズムを解明する.従来では,面外と面内の独立した座標で考えられていた鳴き振動を,斜め方向の1自由度という本質で捉え直すことで,面内鳴き現象を簡単に説明できる.さらに,鳴き発生メカニズムに基づいた鳴き対策を鳴き試験機に施し,効率的かつ確実に鳴きを抑制できることを示す.
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研究実績の概要 |
本研究では,鳴きを安定して発生させることができる鳴き試験機を開発し,鳴きの発生メカニズムの検証を実施してきた.理論で裏付けられた鳴き対策を提案するために,鳴きに影響が大きいと考えられる要素を抜き出して簡易化した構造とした.この試験機では,ディスクに摩擦材を押し付ける圧力などの実験条件を,面外鳴きと面内鳴き,それぞれの鳴き発生メカニズムに基づいて管理することによって,面外鳴きや面内鳴きを選択的に発生できる. 鳴き試験機において,実機のディスクに近い形状を維持したままでは,実験的検証のために固有振動を大きく変更することが難しいという問題があった.また,面内鳴きの原因となる固有振動に対策を実施しても,その結果として,固有振動が全体的に変化し,別の鳴き(面外鳴き)が発生する場合がある.このため,鳴き対策の効果の検証にも困難性があった. そこで,ディスクを実機とは異なる構造に変更することで,面外鳴きと面内鳴きの要因となる固有振動数をある程度独立して管理できる鳴き試験機を開発した.試験の結果,ディスクの回転に応じて,面外鳴きと面内鳴きが交互に発生するという現象を確認した.非常に鳴きが発生しやすい試験機となっており,発生メカニズムが異なる面外鳴きの発生条件と面内鳴きの発生条件を同時に満たしている可能性がある.面外鳴きと面内鳴きが切り替わる理由として,回転に伴う圧力などの変動があると推察される.現在,面外鳴きの対策や面内鳴きの対策を施すことで,試験機の鳴きがどのように変化するのかを確認している.また,面外鳴きと面内鳴きが交互に発生する理由の特定を予定している.こららの知見がまとまり次第,実機に近い構造のディスクを用いた鳴き試験機により,提案する鳴き対策の効果と実用性を確認する準備をしている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナウイルス感染症対策関連のために研究実施体制を調整した影響が残っており,当初の予定より研究の進捗に遅れが生じている. また,実験装置(鳴き試験機)について,信頼できる実験結果を得るために必要であるという判断から,前年度に構造を変更した.この結果,鳴き試験機は非常に鳴きが発生しやすくなり,同じ制動条件においても面外鳴きと面内鳴きがディスクの回転に伴い交互に発生するという予期せぬ結果をもたらした.研究代表者の判断により,この現象について発生原因の特定を実施することになった. 以上のように,外部要因への対応と研究の進展に応じた学術的な必要性の両面から研究計画が変更された.その結果,当初の目的としていた,具体的かつ新規性のあるディスクブレーキの鳴き対策の提案には至らなかった.よって 当初の予定に対する進捗としては, 「遅れている.」と判断する.
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今後の研究の推進方策 |
鳴き試験機による実験は,鳴き発生メカニズムの検証において,期待していた以上の成果を上げている.面外鳴きと面内鳴き,両方の発生条件が満たされる制動条件において,どちらの鳴きが発生するのかが理論的に明らかになれば,鳴き対策の優先順位が明らかとなる.また,簡易な解析モデルで示された面外鳴きの発生メカニズムと面内鳴きの発生メカニズムを組み合わせることで,実際のブレーキで発生している複雑な鳴き現象も説明できることが期待される.引き続き,鳴き振動現象の解明とそのことに基づいた具体的な鳴きの抑制方法の提案,その効果の実証に取り組む.
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