研究課題/領域番号 |
19K04363
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 香川高等専門学校 |
研究代表者 |
太良尾 浩生 香川高等専門学校, 電気情報工学科, 准教授 (00321498)
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研究期間 (年度) |
2022-11-15 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 温度上昇計算 / 主根管 / 側枝 / 根尖歯周炎治療 / 電流密度解析 / 温度解析 / 連成解析 / 根管内温度上昇 / 温度依存性 / 根尖性歯周炎 / 温度上昇 / 歯根管 / 通電 / 電流密度 |
研究開始時の研究の概要 |
根尖性歯周炎の治療法として,歯の根管に500kHz程度の高周波電流を通電させ,根管内をジュール熱によって殺菌する治療が注目されるようになった。しかし,過度な通電によるジュール熱が歯周組織に障害を及ぼす危険性が予測される一方で,温度上昇を許容しうる通電条件を示す十分なデータがない。本申請では,電気工学的な観点から歯モデルを用いた数値解析によって通電時間などの通電パターンに対して根管内や歯周組織での温度上昇を調べ,歯周組織に影響を与えない効率的な通電条件を見つけることを探る。
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研究実績の概要 |
これまでは,一つの主根管をもつ単純な歯モデルにおいて,電極間への電圧印加時に主に根管内でどの程度の温度が上昇するのかを数値解析により検討してきた。次のシナリオとして,主根管から歯根外表面に開口している側枝(分岐)に着目して,側枝の有無による主根管内の温度上昇への影響を調べた。数値解析では,まずは上述とは異なる,さらに単純なモデルを作成した。すなわち,主根管部に浸す生理食塩水から根外の病変(生理食塩水)までを主根管と側枝が平行して存在する場合を想定したモデルとした。側枝の径は0.1mmで固定し,主根管の径は0.1mm~0.4mmの間でパラメータを変えた。主根管と側枝の長さは同じとした。 結果として,主根管の径が大きくなるほど通過する電流を大きくなるため,ジュール熱が大きくなり温度上昇も高くなることが確認できた。また,側枝を通過する電流量は,主根管の断面積に対する側枝の断面積の割合に比例して決まるので,(主根管と側枝において両端に加わる電圧が同じであると仮定すると)両者における温度上昇は両者の断面積の比で決まることを確認した。すなわち,主根管の径が0.4mmのときでは,側枝での温度上昇が1℃とすると主根管では16℃の上昇となる。したがって,主根管の径が小さい場合には側枝の存在による主根管での温度上昇に影響を及ぼすことになり,主根管で十分な殺菌が得られない可能性があることを示した。 一方で,側枝では径が細く,多く場合で曲線的な形状としているので,ファイル器具などで機械的な清掃が困難である。したがって,本研究課題のような,側枝への電流照射による熱殺菌が効果的であると考えられる。すなわち,主根管から根外へ電流が流れないように対処することで,側枝への通電が促進されて,側枝でのジュール熱が高くなり熱殺菌が可能になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究中断から復帰後の前期では,授業や委員会など校務に追われる毎日であり,研究に従事する十分な時間をとることができなかった。後期に入り,いくらか時間は取れるようになったが,学会発表などの成果を出せていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
研究室の学生らにサポートいただき,研究協力者とも十分な打合せを行いながら,小テーマに取り組んでいく。具体的には,歯モデルに側枝や分岐を含む場合の温度上昇,主根管の根尖孔が大きく通電電流の集中が起こりにくい場合や根尖孔が極端に細くて針状電極が根尖まで到達しない場合の対処法,複根を有する歯モデルを用いた菅間側枝やイスマスにおける温度上昇について数値解析を行い,温度上昇が起こりにくい場合にはその電気工学の観点から対処法を検討する。 本課題の最終計画年度として,それぞれの結果を取りまとめて,根管部の状況(側枝の有無,未穿通根管・根尖孔開大時,菅間側枝・側枝,イスマスなど)に応じた最適な電流照射法の提案を行う。
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