研究課題/領域番号 |
19K04391
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
和田 忠浩 静岡大学, 工学部, 教授 (00303529)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 流星バースト通信 / 赤道地域 / 通信路モデル / マルチレシーバシステム / 低緯度地域 / インドネシア / ソフトウェア無線 / Polar符号 / ルートレイズドコサインフィルタ |
研究開始時の研究の概要 |
流星バースト通信は流星が地球の大気圏に突入する際に発生する電離気体柱による反射現象を利用した通信方式である。これまで流星バースト通信の応用や実験は、中緯度地域や高緯度地域で行われていたが、低緯度地域において流星バースト通信の実験は過去に行われていなかった。本研究では、低緯度地域での流星バースト通信実験を継続的に実施し、低緯度地域における流星バースト通信の性能を明らかにする。本研究は、インドネシアのガジャマダ大学とウダヤナ大学との共同研究として実施する。
|
研究実績の概要 |
流星が地球の大気圏に突入する際、大気との摩擦により電離気体柱(流星バースト) が発生する。 流星バースト通信(MBC)は、この流星バーストによる低VHF 帯電波の反射現象を利用した見通し外通信であり、最大2000km離れた通信局間で、大規模なインフラを必要とせずデータ伝送を実現できる。そのためMBCは大量のデータ伝送を必要としない、環境観測や気象観測システムなどに応用されている。現在、赤道地域でのMBCの利用を目指しインドネシアでMBC実証実験をしており、本課題では数年に渡る継続実験により、低緯度地域でのMBC性能や通信路特性を明らかにするものである。 MBCでは、アンダーデンスバーストとオーバーデンスバーストの2種類の流星バーストからの電波反射が考えられる。これまでの通信路モデル化に関する研究の多くは、アンダーデンスバーストによる反射現象を考慮したものであった。本研究では、赤道地域でのMBC実験の観測結果を利用し、オーバーデンスバーストからの反射波の通信路モデルを行い、ピーク受信電力分布の理論式を導出した。 そして通信プロトコルを考慮したシミュレーションを行い, 提案した通信路モデルが、実際のMBCの性能評価において妥当であるということを示した。 赤道地域での実証実験における課題の一つとして、受信局周辺の雑音環境の時間変化が大きく安定した通信性能が得られないという問題がある。そこで、受信機を数m程度の間隔を開けて複数設置し, 各受信機の復調結果を合成することで雑音変動を軽減するマルチレシーバシステムの導入を検討している。本研究では、MBCにおけるマルチレシーバシステムの適用について、個別受信方式、軟値合成方式、対数尤度比合成方式の3つの方式を用い、アンテナの指向性やホットスポットの影響を考慮しながらシミュレーションを行い、各方式の有効性を確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
流星バースト通信(MBC)の実証実験やその応用は、中緯度地域や高緯度地域で行われていたが、低緯度地域においては行われていなかった。研究代表者は低緯度地域としてインドネシアにおいてMBC実験局を開設し、世界で初めての低緯度地域におけるMBC実験を行った。本課題では、このMBC実験を数年に渡り継続することで、低緯度地域でのMBCの性能を測定するとともに、通信路の特性を明らかにしてそのモデル化について検討を行うものである。令和元年度において、インドネシアの共同研究先の大学にて、基礎実験を実施するとともに研究計画に関する協力体制を確認し、令和2年度から本格的な実験を開始する予定であった。しかしながら、新型コロナウィルスの世界的な流行により、日本からの海外渡航ならびに、インドネシアにおける人受入が大きく制限されたため、現地でMBC実験を十分に進めることができなかった。この状況のため、日本国内において、現状得られている実験結果の検証とそのモデル化、ならびにマルチレシーバシステムの理論検討に取り組んだ。
|
今後の研究の推進方策 |
インドネシアでへの渡航制限が緩和されたことにより現地での実験が可能となりつつあり、現地に設置したMBCの送受信機装置やアンテナのメンテナンスを早急に実施する。また、現地での実験について迅速に取り組みができるよう、日本国内で実施できる課題について検討を進める。特に、ソフトウェア無線(SDR)に基づく流星バースト通信用無線機の改良を目指すこととし、さらにマルチレシーバシステムの検討や、誤り訂正符号であるPolar符号を用いた通信システムに関する検討を更に進める。その検討に基づいて、SDRによる流星バーストシミュレータの制作を実施する。インドネシアの共同研究先との協力の下、赤道地域でのMBC実験の体制について再検討する。そして、継続的な実験のため定期的にインドネシアに赴き、実験の継続を図る。
|