研究課題/領域番号 |
19K04462
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21040:制御およびシステム工学関連
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研究機関 | 阿南工業高等専門学校 |
研究代表者 |
杉野 隆三郎 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 教授 (10259822)
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研究分担者 |
福田 耕治 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 教授 (40208955)
伊丹 伸 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 講師 (60212982)
三宅 修平 東京情報大学, 総合情報学部, 教授 (00200139)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 共創場原理 / 魚群行動 / LED光 / レベルセット法 / 群行動モデル / 選択的漁法 / 共創原理 / 共創場 / 魚群行動モデル / LED光応用 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,LED等の光技術を用いた資源管理型新型漁法が注目され,配光特性の異なるLEDを用いることで魚群行動の制御・光の濃淡形成を実現とする知能化された集魚灯システムによる魚種・漁法・漁場に応じた最適化が考えられている.しかし,実漁場フィールドにおける数百~数千匹で構成される魚群行動の精密な測定ないしコンピュータシミュレーションに基づく定量的な研究は存在していない.そこで,ラージサイズの魚群行動を定量化できる「共創場原理をベースとするまったく新しいレベルセット魚群行動モデルを開発」し,実際の新型漁業技術開発への適用性と有効性をシステム工学的視点から検討する.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,魚群が発現する共創的群行動について,個体行動を重畳した群全体が形成するメタオーダー行動モデルをレベルセット関数(LSM)に置き換える新しい数理モデリング法の構築を試み,LED光による選択的漁法に適用可能なコンピュータシミュレーション手法を開発することで,LED光を用いた漁法の産業応用の可能性を探ることにある.LED光を用いた漁具に対する魚群行動については,徳島県水産研究所による水槽実験データから抽出された論理データに共創場理論を適用して魚群行動モデルを構築する.そのLSM数理モデルの有効性をコンピューターシミュレーションを通じて検証することが目標となる.この目的に沿った令和4年度の研究計画に対する実績を以下に示す. 1.魚群行動パターンの変化を定量化するために論理データにカオス・フラクタル解析を適用してクラス分けを試みる必要があるが,これまでの手打ち作業から得られた撮像データから自動的に各個体を分離して論理データを抽出できる画像処理アルゴリズムを開発できた.また,新しい赤外線暗視観察システムを開発し,今後の魚群行動の観察データを高精度かつ柔軟な実験条件の設定可能性を広げることができた. 2.共創場原理をベースにする計算機実験手法の新しい可能性を探るため,群集に与えるタスクの設定と行動モデルについて数値実験を通じて検討するとともに,レベルセット法で用いるスカラー密度関数を設計するモデリング手法をhypar graphにより検討でき,今回新たにboids法によるweak AIによる新しいマルチトラッキングアルゴリズムへの応用可能性が確認できた. 以上により,研究計画の【フェーズ2】レベルセット魚群行動モデルの構築:フェーズ1で得られた結果を数理科学的かつ水産学的に吟味し,群行動パターンのレベルセット法によるコンピュータ計算技術を開発を部分的に達成できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナ感染症の全国的なパンデミックにより,所属する機関における研究活動はもちろんのこと,共同研究先である徳島県農林水産総合技術支援センター水産研究課における魚群行動実験や東京情報,日本大学、広島市立大学との共同研究などすべての研究活動が大きく制限を受けた. 以上の結果,実データの取得・分析・検討や数理モデリング法の開発と実データとの比較検討などすべての研究プロセスが不十分となり,「共創場理論にLSM魚群行動モデル」を仮説・検証するタイムスケジュールが相当程度圧迫されている. しかしながら,数少ない公試実験の隙間と縫って新しく高精度暗視水槽実験撮像システムの開発ができ,また群行動の画像解析の困難性を突破する新しいコンピューティング手法として,撮影対象の魚群行動をベースにするboids法によるweak AIアルゴリズムよるロバスト遊泳軌跡トラッキング手法が開発することができ,今後の魚群行動実験解析の手間を劇的減ずることが可能になったことは特筆すべきことである.
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今後の研究の推進方策 |
先の項目で遅延していることを補い,本研究をさらに深いレベルで達成するために今後取り組む研究計画を以下に示す. 1.群行動の論理データの質向上:過去に行った魚群行動実験は魚の個体行動を精密にトラッキングすることは困難かつ得られたデータからの行動モデルの抽出も極めて困難であった.今後は困難性を極力排除した撮像システムと画像解析システムができたので良質な魚群行動実験のプロセスや条件を再検討するとともに,新群衆行動トラッキング手法を用いた水槽実験データの積み上げをしていく. 2.LSM魚群行動モデルの開発:LED光による環境条件を変化させた場合に魚群行動を記述するレベルセット関数の移流速度V(Φ,φ)の数学的記述法をさらに検討するとともに参照データのマッピングにディレクトリ構造を持たせた離散数学的な新機軸を盛込んだ新しいデータ解析手法を開発する.
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