研究課題/領域番号 |
19K04758
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
|
研究機関 | 東北芸術工科大学 |
研究代表者 |
馬場 正尊 東北芸術工科大学, デザイン工学部, 教授 (70515197)
|
研究分担者 |
中江 研 神戸大学, 工学研究科, 教授 (40324933)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | エリア・リノベーション / 公民連携 / テンポラリーアーキテクチャー / 仮設建築と社会実験 / エリアマネジメント / 所有と活用・経営の分離 / 都市経営 / デザインとマネジメントの連結 / リノベーション / 都市空間 / 暫定利用 / 建築 |
研究開始時の研究の概要 |
新たなデザインや機能を吹き込むことにより古い建物を再生する行為をリノベーションと呼び、空き家が目立ち始めたエリアにおいて、点のリノベーションが連鎖的に起こり、面に展開していく現象をエリア・リノベーションと呼ぶ。それらを意識的に仕掛けていくことが、これからの都市計画の手法の一つになろうとしている。 本研究では、エリア・リノベーションが継続し、定着していくために、民間主導・行政支援による公民連携が重要であるという仮説を立て、規制緩和等の制度設計、行政の適切な関与、ファイナンスのスキーム、官民双方の組織のつくりかたなど、国内外のケーススタディーを分析することで、その方法論とメカニズムを明らかにする。
|
研究実績の概要 |
2022年度は、主にこれまでの理論研究を実践にフィードバックした研究で成果をみた。 実践的研究として進めていた「やまがたクリエイティブシティセンターQ1」がオープンした。昭和初期に竣工した山形市立第一小学校旧校舎をリノベーションしたこの施設は、山形市、東北芸術工科大学(研究代表者が教員として所属)、株式会社Q1(研究代表者が代表取締役)による公民連携事業で実施されたものである。ユネスコ創造都市ネットワークに加盟した山形市において、映画やものづくりやデザイン、食、それを支える農業や産地としてのまちの魅力など、さまざまな要素を、民間資本や技術、人材と掛け合わせ、楽しいコンテンツ空間を創出しながら、公共性と収益性も両立させていくことを目指し、企画・デザインからマネジメントまでを上記三者が連携する体制で一貫して遂行したものである。また、これに関連して、山形市では2022年4月に「山形市文化創造都市推進基本計画」が策定された。これの「創造的活動を支える環境の整備及び活動」の具体的取り組みのひとつである創造都市拠点施設の整備は、上記施設が対象となっており、この施策の立案にも研究成果を活用して協力した。 また、本研究の成果として2020年に出版した『テンポラリーアーキテクチャー/仮説建築と社会実験』で示した、民間企業へのサウンディングと社会実験を組み合わせて行うことにより、確実にプロセスを共有しながら公民連携プロジェクトを構築していく手法、トライアル・サウンディングを、静岡のトライアルパーク(研究代表者が企画・設計)で実践し、その内容についての成果発表を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、新型コロナウィルスの影響により、予定していた調査の一部が実施できなかったが、実践的研究の対象施設がオープンするなど、実践面での研究では大幅な進展が見られたため、総体的には、やや遅れているものと評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度の研究成果は理論面での研究を実践にフィードバックしたものとしての成果であるが、さらに、これらの実践で得られた知見を整理し、再び理論へとフィードバックする作業を進める。類似する国内外のプロジェクトと比較検討することにより、客観性を高め、汎用性のあるモデルにすべく、分析を進める。 実践的研究の対象施設がオープンしたが、これまでの事業化の経緯とともに、オープン後の実際のマネジメントも含めてのモデル化を検討する。また、本研究の成果として出版した図書からのフィードバックや、その発展形としての方法論を論文として発表したことにより、多方面からの反応がある。これらから導き出される事象を組み込むことにより、それを加味した調査研究を行う。 類例との比較評価のための海外事例の現地調査については、新型コロナウィルスの影響は落ち着きをみせている一方で、燃料費高騰に連動した航空運賃の高騰により、海外調査の予定を削減せざるを得ない。これについては、調査対象を厳選するとともに、必要に応じてオンラインでの聞き取り調査も併用することを検討する。
|