研究課題/領域番号 |
19K04782
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 神戸芸術工科大学 |
研究代表者 |
小浦 久子 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (30243174)
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研究分担者 |
伊藤 香織 東京理科大学, 理工学部建築学科, 教授 (20345078)
長濱 伸貴 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (70461134)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 地域資源 / 地域マネジメント / アーバンデザイン / パブリックスペース / 空間再編 / 空間マネジメント / アーバニズム / 土地利用 / デザイン / 都市再生 / 公共空間 / 環境 / 計画の地域性 / 持続可能性 / 地域再編 / 開発マネジメント / 計画論 |
研究開始時の研究の概要 |
人口減少社会において、小さな地区や近隣での地域づくりの動きを、都市のかたちの再編につなぎ、縮退への対応のなかで地域の持続可能性を高めるための計画課題を明らかにすることを目的とする研究である。 地区レベルで起こっている空地や公共空間の機能更新や新たな開発デザインの試みを事例分析し、そこからローカルな動きと広域の都市や環境の課題との相互関係を分析する枠組みを設定する。合わせて,既に都市の縮退や再構築の課題に取り組んでいる先進地域における計画を分析し、ミクロ的課題(都市空間の構成要素や地区レベルでの更新)とマクロ的課題(都市の再構築)をつなぐ計画論の構築をめざす。
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研究実績の概要 |
コロナ禍で現地調査が制約され研究が停滞していたが、海外調査から国内調査へと変更した研究方針を継続し、2022年度は移動の制約が緩和されたことから国内における事例調査を集中的に進めた。佐賀市の現地調査および追加調査に加え、新たに岡崎市、前橋市の現地調査・ヒアリング調査を行った。 岡崎市は、これまでの市民活動主体のアクティビティを基盤に市民グループがアーバンスケールの計画提案を行い、その計画で位置付けた都市施設の市による整備事業において専門家によるデザイン管理と市民からの使い方提案を総合化するしくみをつくることで、ローカルな場と都市をつないでいる。前橋市は地元の主要な事業者が出資して市と一体でアーバンデザインを策定し、行政整備と役割分担しながら民間主導の地域整備を進めている。事例調査からは、市民・民間・NPO等の活動と行政計画を調整するための計画的位置づけやしくみに相違があり、そのプロセスの検討が重要であることがわかった。 それぞれに市民や地域事業者・民間組織と行政との関係、ローカルな場の実践の担い手に相違はあるものの、ローカルな場におけるコミュニケーションのデザインとそこでの具体的実践に着目することで、ローカルの実践における場の再価値化の試みが確認できる。一方、新たに創出されつつある価値を都市のかたちの再編(中心市街地の再生)につなぐ計画のあり方を探るという計画課題についてはまだ検討が必要であるが、各都市の事例における調整の仕組みや事業の組みたての分析により見えてくるのではないかというところまでは進めることができた。 こうした調査結果から適切に事例都市を選ぶことで国内事例によっても、ローカルの変化と都市のかたちの再編とをつなぐためのプランニングにおける仕組みを検討する研究課題へのアプローチは可能であると考えるに至っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目には、研究協議会の実施によりローカルスケールとリージョンスケールの計画課題と論点検討を行うとともに、持続可能な地域環境の保全生成の観点からリージョンスケールでの計画課題の動向を国際会議で議論するところまで進めた。しかし2年目、3年目がコロナ禍で海外調査ができない状況となり、2年目はオンライン研究会を実施し、事例調査地を国内に変更して研究課題の達成を図ることを検討したが。研究の進捗は大きく遅れた。3年目にオンラインで佐賀の中心市街地で空地活用や市民活動による空き家利用などの実践についてヒアリング調査を重ねて論点を探り、国内事例調査に基づく分析へ切り替えても研究課題へのアプローチは可能と判断した。 今年度は、昨年度に判断した国内調査への切り替えを進め、移動制限が緩和され対面調査が可能となったことで、ローカルの実践の担い手のタイプや取り組み方が異なる事例を検討し、現地調査とヒアリング調査を集中的に実施し、研究課題に関する調査データの収集を進めることができた。 この結果、選定した事例地区がいずれもローカルレベルでの実践の担い手に特徴があることがわかり、多様なローカルの実践とその都市レベルの計画での位置付けの実態についての情報を収集することはできたが、分析フレームを設定するに至っていない。予定していた事例地調査で実施できていない事例地の現地調査と分析フレームの検討において必要となっている追加調査を進め、ローカルの場と都市スケールを繋ぐ計画論を検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
3年の研究期間を想定していたが、世界的なコロナ禍で海外調査は全く実施できない状況となったことから、国内の事例調査に切り替え、今年度は集中的に事例地での現地調査を行ったところである。しかし予定していた事例地の全てにおいて現地調査を実施することができなかった。また現地調査による情報収集に終わり分析フレームの設定に至っていない。このため、残された事例地の調査を行うとともに、調査結果にもとづき研究課題に対する分析を進める必要があることから、もう1年研究期間を延長することとする。 次年度は、追加調査と合わせて事例都市の実態の比較分析を行い、そこから得られた知見に基づき研究課題であるところの計画におけるローカル(生活空間)の変化とリージョン(都市のかたち)の再編の相互性を検討するための分析フレームを設定し、戦略的計画論の考察につなげる。 またこれまで、調査による情報蓄積とその分析を十分に進めることができず研究成果を論文にまとめることができていなかったが、来年度はこれまでの研究成果を学会で発表できるようまとめる。そのために効率的な調査の実施とできるだけオープンな研究会を継続することにより、既に確認されているローカルな取り組みによる場の再価値化がアーバンスケールにどのような影響をもたらすのか、その都市レベルの計画への位置づけを検討する。これらの取り組みにより、研究課題の考察を深める予定である。
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