研究課題/領域番号 |
19K04799
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
古賀 紀江 関東学院大学, 建築・環境学部, 教授 (10295454)
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研究分担者 |
井上 由起子 日本社会事業大学, 福祉マネジメント研究科, 教授 (40370952)
福田 菜々 北海道科学大学, 工学部, 准教授 (70554731)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 職場環境 / 高齢者施設 / 介護職 / 知的創造 / 職場環境QOL / 場所愛着 / モチベーション / ジョブコミュニケーション / 労働環境QOL / 高齢者居住施設 / 知識共有 / 知識創造 / 健康 / 主観的健康観 / 仕事環境の質 / 労働環境 / アンケート調査 / 高齢者施設計画 / SECIモデル / 知的生産性 / 環境行動支援 / ヒアリング調査 / 知的創造促進 / QOL / 建築計画 |
研究開始時の研究の概要 |
収容施設から居住施設へと変貌を遂げた高齢者施設は、もっぱら利用者の視点で施設環境を取り扱ってきた。職場としての高齢者施設は、利用者と職員が混在するという特徴があり、職員は常に利用者を意識して仕事をしている。即ち現場の職員は、感情労働、知的労働、肉体労働の混在する、極めて負荷高い状況に置かれている。職員の心身への負荷を緩和し職場のQOLを高めるための知見を得ることは喫緊の事案と言える。研究では、高齢者施設を「働く場」として捉えなおし、その労働環境を時間軸を内包した全体性を持った知が巡る動的な場として捉え、これを施設の建築計画、働く人への環境行動支援に資する知見として機能させることを目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、前年度までに実施したwebアンケート調査の分析及び施設の労働環境について知的生産の行われる場に注目したインタビュー調査を実施、分析を進めた。webアンケートでは、仕事に関する知識共有をジョブコミュニケーションとして、これを行う場所を回答者がいくつ持っているかに着目したところ、働きやすさや心地よさの評価の分析から、休憩場所にもジョブコミュニケーションができる可能性が担保されることの重要性が示唆される結果を得た。つまり、多様で複数ジョブコミュニケーションをする場所があるということは、介護の職場の知識創造と働く環境 QOL の両面の質の底上げに寄与できる可能性をもたらすものと考えることができる。 次に、施設の労働環境について知的生産の行われる場に特に注目した実態の把握とその情報に基づく分析を計画した。コロナウイルス感染症の5類移行も行われたこともあり、協力施設では対面での実施とした。具体的な内容は、①プロット調査及び場面記録の調査を実施、②上述①の結果を提示しての職員インタビューから場の質的な面を捉える。また、③勤務歴が長い職員へのインタビューから循環上昇的なSECIプロセスの側面を検証することである。前年度より順次実施し、2法人4施設で本調査までの実施と、2法人2施設にてプレ調査の実施を行った。 研究ではSECIモデルを援用し、場所と知的生産の場をリンクさせる方法をとっているがインタビューからこうした場のフェーズの存在と成長の実態が職員間のコミュニケーションの手段の変化や構築として捉えられた。WEBアンケートの分析で明確になったジョブコミュニケーションの場の担保の重要性と合わせ、多くの示唆を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は、コロナウイルス感染症の5類移行もあり当初より対面での調査計画を立て、依頼等を行っていた。方法を変えた手段によるWEBアンケートでは規模の大きさもあり、想定以上の成果を得ることができ、施設における職場環境の把握とインタビュー調査で得られる実際の状況と合わせた考察につなげるべく分析を進めている。 しかし、パンデミックの影響は完全には状況は収まっておらず、コロナウイルス感染とインフルエンザの感染の発生が生じ、もとからの調査スケジュール時期と重なるなどの事態に陥ってしまった。このため、インタビュー実施時期の大幅な遅れにより、本研究として必要なケースでの実施が行えていない。苦渋の判断で2024年度への延長申請を行い認められた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度計画は以下の通りである。 4月から9月にかけて調査を実施及び分析を進める。①昨年度遂行できなかったインタビュー調査を進める。これは延長申請出願時よりシームレスに行っている。また、新たな期間を得たことから、②当初計画で予定していたようにインタビューを実施した施設の職員を対象とした職場環境に関するアンケート調査を実施する。 10月以降は研究成果をまとめる。成果としては次の二つを目標とする。①現場支援につながる報告書の作成:本研究は、働く人の環境の質を向上させることを目的としているため、できる限り現場の支援につながるような成果の示し方を考案する。②研究論文として国内外で発表機会を得る。
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